マイボーム腺機能不全(MGD)というのは聞きなれないかもしれませんが、簡単にいうとまぶたの縁にある脂成分を出す腺の開口部がつまることによって、漠然とした目の不快感や、目の縁に付着する汚れ またそれを取り除こうとして擦るための瞼の荒れ ドライアイ 霰粒腫ができやすい 等の状態のことです。
MGDという概念によって、とてもうまくそれぞれの病因が説明でき、なるほどと納得できたのはもうかなり前の出来事です。
特に高齢者の方の目の周りの荒れ(脂漏性皮膚炎)に対して、軽いステロイド系の眼軟膏やベタベタした眼脂(マイボーム腺のつまりによって起きる感染症)に対しては、抗生物質の点眼。
マイボーム腺から分泌される脂は、涙液の安定性をつかさどる油層として大切な働きをしますが、その働きがMGDによって不安定になり、ドライアイの症状でやってくる患者さんには、ドライアイの治療の点眼。
霰粒腫には、感染の最盛期には、抗生剤点眼 慢性期にはステロイド点眼を追加。
対症療法でも簡単に改善する場合は、それでも良いのですが、特に長期慢性化したMGDによる目の縁の赤らみや、脂成分が睫毛に強く付着することによって外観を損なうこと 痒み 何といってもべたべたした不快感が続く場合の対処法として、かなり以前からリッドハイジーン(眼瞼清拭)が推奨されていました。
アイシャンプーの話を学会で聞いたのも、数年以上前ですが、早速外来で患者さんにその話をして、特殊なシャンプーだから目に入っても痛くないことや、そっとマッサージすることなどを伝えましたが、当院で販売しているわけでは無いので、若い人に取り寄せてもらってくださいね と話していました。
今ではむしろ若い人が読む美容雑誌などでもエクステ後の瞼の清潔のため とか目の周りのお化粧をきれいに落として清潔に とか特集されていることがアイシャンプーの販売会社のホームページに宣伝として書かれていました。
根本原因としてマイボーム腺から分泌される脂成分をきれいにシャンプーして、睫毛に汚れをつけないようにしようということですから、確かに理にかなっています。
アイシャンプー通信という冊子を年に何回か送ってきてくださいますが、健康保険の適応がないので当院ではおいていませんが、近くの調剤薬局ではおいておられます。
ただ何年も前から、楽天等でネット販売していたぐらいですから、もちろん今でもネットで各種のアイシャンプーを販売しています。チェックしてみたら、送料無料のものなども販売していました。
眼瞼炎に対しての抗生物質点眼も、かなりシャープな効き目の点眼薬が発売されたので、不快感が解消できる患者さんも増えるだろうと思います。
抗生剤点眼薬は、保険適用のお薬ですから、受診の上での処方です。