以前にもこのブログで、スポットビジョンスクリーナーの話題を書いたことがあります。
子供の視力発達が期待できるのは、長めに見積もって8~9歳ぐらいまでといわれているため、視力というより、子供たちのおよその屈折値(遠視 乱視 近視)や眼位を3歳児健診時に調べることができる というのは大きな安心材料になります。
あくまでスクリーニングのためとしての位置づけですから、多くの子供たちを手短に、簡単に、チェックできることが大切です。
暗室である必要があることや、1メートルほど離れた所から写真を撮るように操作するので、子供の瞼を少し上げたい時など、誰かの補助が必要等少し難点もありますが、写真を撮られ慣れている最近の子供たちは、スムーズに集団での検査ができているようです。
何回も自慢して申し訳ないのですが、兵庫県の中でも伊丹市はかなり早期から取り入れていました。
全国的に小児科医会の方が、積極的であったという背景があるわけですが、現在は日本眼科医会も本腰を入れ、全国の自治体での導入を目指し、なんと令和4年度中に(2023年3月までの導入予定も含め)全国平均で70.8%を達成する予定です。
それまでの導入率が28.4%だったことを思うと、大躍進といっても過言ではないと思います。
3歳児健診は、市町村単位で行われるため、達成率は全国の都道府県ごとに速報値で公表されています。
2022年6月末現在で、すでに100%達成を果たしているのが、群馬県 富山県 高知県。
2022年度末に100%達成予定は石川県 岐阜県 静岡県 島根県。
90%以上達成予定は、山形県 京都府 兵庫県 鳥取県 広島県 香川県 愛媛県 佐賀県
近年中に、3歳児健診で屈折検査の導入予定がないという自治体も約1割あるそうで、その理由のアンケート調査結果も示されていました。
予算の確保が困難 76.3% 保健師等の人員確保が困難 54.4% 屈折検査のための部屋の確保が困難 36.9% 検査時間の確保が困難 26.9% となっていました。
予算の確保が困難 が1位となっていますが、当院でも持っていますし、小児科や眼科のクリニックでも持っている施設は多くあるので、何とかならないかなと思ってしまいます。
ただその場合、保健師の確保等の、その他の理由も同時に困難でしょうから、予定できないという結論なのかもしれません。
地域ごとに、子供の数やその他に抱えている問題の内容は千差万別でしょうから、一方的に押し付けることはできないというのが、個別対応ではない集団健診の限界のように思います。