
白内障の症状について、患者さんに聞かれることが多いです。
ありきたりの、かすむ まぶしい 光がにじむ といった答えを患者さんが期待しているとは思いません。
なぜならそういう質問が出る時点で、患者さんたちはそういう症状は既に経験していると思うからです。
例えば視力検査で1.0以上が出ている場合、カルテの数字だけをうのみにした場合、全然問題ありません。という回答になるでしょうし、検査のORTさんは、視力に問題はなさそうです と答えると思います。
以前は視力と実際の診察で観察した水晶体の濁り具合との乖離に、どう説明するべきかと思うことが多かったのです。
でも最近は、視力以外の眼底検査等での異常所見が無い場合、患者さんが現状の見え方に満足できているのであれば、あえて白内障については積極的に伝えることも無いように感じてきました。
多くの患者さんは、自分で納得した段階で、自発的に手術を希望されることを知っていますし、日常生活というのは千差万別ですから、一人ひとり困り具合は違うからです。
もちろん客観的に、すでに指数弁や手動弁にまで低下している等の進んだ状態であれば別です。
かなり昔の白内障治療の時代を知っている私としては、今の時代の白内障治療つまり手術は、素晴らしいものだと実感しています。
だから多くの患者さんもその恩恵にあずかってほしいと思います。
そしてこのような手術を、現状の保険制度が持続できるのであれば、驚くほど安価で、受けることができるというこの日本も捨てたものではない と心から思っています。
ただ目端の利くというと悪者扱いで申し訳ないのですが、この制度が必要以上に割安であることを主張する政治家も出てきました。
そうなると、治療をする医療者側からは全く同じことをしているのに、患者さんの立場からすると、負担額によっては手術を受けにくくなる方も出てくる未来があるかもしれません。
私達は、純粋に医学的に日常生活に差し障りがないかどうか だけを考えていればいいのですが、経済的に差しさわりが出て手術を受けることができない という今までの日本ではあまりなかった現象が起きることがないだろうか と少し心配になってきます。
昔に比べ、医療費削減のため、色々な保険点数は減点されていますが、医療機関はそれを甘んじて受け入れてきました。
でも今後は患者さん側にも負担をしてもらおう ということになってくるのでしょう。
自分自身が高齢者になってくるにつれ、今後はどういった医療を受けることができるのか ちょっと心配になってきます。