
正常眼圧緑内障(NTG)でいうところの、正常眼圧とはいくつのことを指すのでしょうか?
これは10~20mmHgということですが、この正常値の眼圧でありながら、緑内障的な変化 例えば、視神経乳頭の色調が赤みを失って蒼白化していたり、陥凹が深くなったり 視野が欠けたり といった変化が認められる病態を、NTGと呼んでいます。
日本人は、NTGの割合が多く、眼圧だけを計る健診では見過ごされる可能性があります。
眼圧がたとえ10台の前半でも、進行した緑内障の場合もあります。
緑内障の進行は、特殊な緑内障を除いて、かなりゆっくりとしか進まないので、患者さんが自覚するタイミングは、球技をしていてい上から落ちてくるボールがふと消えることがある とか車の運転をしている時、信号を見落とすことがある とかそれも見方を替えたらまた見えるようになるので、錯覚だと思って、気付かないことも珍しくありません。
どのようなタイプの緑内障でも、眼圧が高いことが眼球の中で、一番底にある視神経乳頭を傷めるのですから、まず眼圧を下げることが最重要です。
眼圧は日内変動もありますし、角膜の厚みによっては正常値も、変動します。
ですから目標眼圧値も、一度決めたらその眼圧が正しいというわけでは無く、視野検査を繰り返している間に、MD値が低下していくようなら、目標値を変更し、治療を強化する必要があります。
一般に、目標値は無治療時の20~30%まで下げることですが、すでに治療が始まった状態で来院された場合は、現状の治療を継続しつつ臨機応変に、治療薬を変更する必要もあると思います。
そうやって治療を進めていても、3剤以上の治療薬となっていながら、視野の欠けが進行していく場合、手術的治療も考える時期がくる場合があります。
3剤でも視野進行が止まっている場合は、手術治療を希望しない場合は、必ずしも手術治療をしなくてはいけないわけではありません。
ただし、点眼薬のアレルギーが出ている場合など、点眼を継続するより、手術治療によって、点眼薬が不要になる または減量できることがメリットになる時、緑内障の進行が速い場合 等、緑内障専門医にセカンドオピニオンを求めることは、患者さんにとって有意義だと考えています。