当院の場合、多焦点レンズを選択する方は、ほぼ最初から自分で希望して来院されるので、積極的にこちらから多焦点レンズを推奨することは少ないです。
ただ手術後にそのような人工レンズの存在を知らなかったということにならない為に、そういうレンズもあります ということは伝えます。
外来時間中に、なるべく時間をかけて術後どのような見え方を希望しているのかを確認していますが、迷いが出たり、他の手術経験者の話を聞いたりして、希望が定まらないこともあります。
一度決めた後でも、術日が迫っていても大丈夫ですから、私の外来を受診してください。
所で、今日の話題である、多焦点レンズの選択に関して、眼科医のみならず患者さんにお話をする際には、シンプルに3つの項目で判断することを、その道のエキスパートであるビッセン宮島先生が推奨されていました。
1.手術費用
2.眼鏡使用の可否
3.他の眼科疾患の有無
こう書くと眼科医としては、あまりに当たり前なのですが、1.の手術費用は、多焦点レンズを選択すると、選定療養扱いとなり、多焦点レンズ代は自費となり高額となる。
2.の術後の眼鏡使用をむしろ希望している方にとっては、わざわざ高額の多焦点レンズを入れる必要はありません。私自身は煩わしいと考えていますが、しわ隠しに眼鏡を好む人やおしゃれの一環として眼鏡を好む人もいますから、人それぞれです。
また多焦点レンズを入れると、絶対眼鏡が不必要というわけでもないので、使用頻度を減らしたいという表現が正しいかもしれません。
ただ最近普及している3焦点レンズや連続焦点レンズは、以前より確実に眼鏡の必要性は低下しています。
3.他の眼科疾患については、術前検査の時点で、検査を済ませていますので、白内障以外に視力に影響のある病気がある場合には、あえて多焦点レンズについての説明を最初からしていない場合もあります。
視力に影響しない程度の疾患の場合は、説明の上で多焦点レンズを選択することはもちろんあります。
一生に一度のチャンスですから、大いに迷って納得のいく度数を決めたいですね。