マイボーム腺というのは、まぶたのふちから油分を分泌する働きをする所です。
涙のほとんどは、水分ですが、蒸発を防ぐため、涙の表層に薄い油分の膜があり、その油の分泌が多すぎても少なすぎても、不快感を感じることになります。
ドライアイの原因の8割は、マイボーム腺機能不全(MGD)が原因といわれています。
MGDについては、かなり研究が進んでおり、その原因として、マイボーム腺への細菌感染がきっかけで、腺の穴をふさいで詰まってしまったり、変性してしまうことが考えられています。
MGDには、マイボーム腺からの分泌が減少するドライアイ以外にも分泌が増加して、眼脂が増え、流涙感 痒み、異物感 まぶたの荒れが起きるタイプもあります。
最近(と言っても2019年9月)発売された抗生剤点眼による改善が期待されています。
この抗生剤点眼は、使い方にかなり特徴があり、調剤薬局で説明をよく聞いてもらう必要があります。
下に何点か列挙してみます。
最初の2日間は、1日2回点眼。3日目からは1日1回点眼でよく、眼瞼炎の場合は12日間点眼する。
最初の2日間はしみやすいが、その後はほぼしみなくなる。
ドロッとした点眼液なので、さした後、少しの間かすんだ感じがある。
この抗生剤は、グラム陰性菌にもグラム陽性菌にも効果があり、幅広い細菌に効果がある上に、抗炎症作用もある。
しかも組織に長くとどまる特徴があるので、点眼後の再発が長期間起きにくい。
残念な点は、この抗生剤は殺菌作用ではなく、静菌作用のため、耐性化しやすいということです。
最近目やにが多く、長期間目のふちが荒れている高齢の患者さんには、アイシャンプーで目を洗うことを勧めたり、この点眼薬を処方することも増えてきました。
良い結果が続いてくれることを願っています。