日本人の眼圧の平均値は14.5mmHgで、正常値は10~20mmHgと定義されています。
但し緑内障として治療する必要があるかどうかは、単に1回の眼圧の測定値だけで決まるといった単純なことではなく、眼底検査や視野検査 隅角検査 OCT検査という、網膜や視神経等の組織の断面を観察する検査をすることにより、総合的に判断することになります。
急性緑内障発作のような特殊なタイプの緑内障でなければ、大概は超慢性的な経過をたどるので、治療を開始する前の平常時の眼圧値を把握した上で、どの程度まで下げるかといった、治療目標眼圧を決めることも大切です。
ですから、眼圧値が20を超えていても、他の検査が全く正常のばあいは、経過観察のみで治療を始めないこともありますし、正常範囲に収まっている眼圧値でも、2割できたら3割の眼圧低下を期して、点眼薬治療を開始することもあるわけです。
治療を開始すると、よく聞かれることが、血圧との関係です。
数字に敏感であることは歓迎ですが、血圧との関係においては、多くの人が勘違いされているように感じます。
高血圧治療薬を内服している患者さんは多くおられますから、血圧との関係といえば、血圧を下げるほど緑内障にも好影響だと考えている人が多いのですが、実は逆です。
血圧が下がり過ぎて、低血圧の結果、視神経を栄養する血流が低下して、視神経の機能低下に陥り、視神経繊維の減少や脱落につながるという知見がかなり以前から報告されており、このブログでも書いたことがあります。
一方血圧が高くてもそれによって、眼圧が上昇するということは無く、血圧が高いことが緑内障発症のリスクファクターになるということはありません。
但し高血圧は、動脈硬化の一因となるわけですから、治療が必要なことは変わりありません。
ただ下がり過ぎている低血圧が、緑内障の進行にとっては望ましくない状態であるということは言えそうです。