幼いころの実家は、海まで歩いて行けるほど近かったので、小学校低学年のころは、夏休みには海に、それもお昼の日差しの強い時間に、水着を着てよく遊びに行きました。
もちろん心配性の母も同伴です。
母は、日傘をさし洋服のまま、浜で立ってみています。
もし何かあっても、何とかなるかどうかはわかりませんが、気持ちの上で母がそこにいてくれるというのは、安心感がありました。
この文章を書いている今でも、磯の香りが思い出せます。
プルースト効果というのは、この現象とは逆ですが、ある香りを嗅ぐとその匂いで、過去の記憶や感情を鮮明に思い出すことを言います。
フランスの有名な作家 マルセル・プルーストが書いた「失われた時を求めて」 という作品の中で、紅茶に浸したマドレーヌの香りを嗅いで、幼少期のことを突然思い出す。
無意識だった過去の記憶が突然よみがえって、自分の時間を見つめるといった作品だそうで、私は読んだことは無いのですが、有名な長編小説です。
香りを嗅ぐことにより、過去の記憶や感情を思い出すことをプルースト効果というのですから、私のは過去を思い出すことにより、香りが蘇るという逆プルースト効果。
香りだけではなく、はやっていた音楽を聴いて当時の仲の良かった人のことを思い出すなんてことはよくありますよね。
今年こそ海の近くで、磯の香りを嗅いで、懐かしい母を思い出してみたいと思います。
年齢を重ねるにつれ、思い出が増えていき、子供のころの自分に戻れるというのは嬉しいことです。