コーヒーの話題ですが、先日の眼科納涼会の雑談の中で、ブラックコーヒーが好きといった人が40%以上もいたので、私としては驚きでした。
しかも一日の中で、何杯も飲むというほど好きな人もいたので、ブラックコーヒー好きというのは、遺伝子に組み込まれているのだって と話したのですが、本人たちは半信半疑の顔つきだったので、どこかに書いてあったと探したところそのペーパーが出てきました。
コーヒーが健康にいいか悪いかということは、以前はカフェインが多いことを根拠に一日に2~3杯ぐらいまでならいいでしょう といった話が多かったと思います。
最近はコーヒーにはカフェイン以外にも1000種類ぐらいの植物性化合物が含まれていて、そのほとんどがまだ研究されていないため、カフェインが多いということだけを取り上げるのは片手落ちで、むしろ死亡リスクを下げる働きがあるとも言われています。
その根拠は、ビタミンB群 カリウム が含まれている以外にも、がんのリスクの低減につながる複数の抗炎症物質 覚醒 記憶 精神機能を改善する作用物質
クロロゲン酸による血液凝固機能を抑える作用 つまり心臓発作 脳卒中リスクを下げる
腸の機能を改善し、過剰な脂肪蓄積を抑制し肝臓を保護する。
何となく何にでも効く健康食品の宣伝文句みたいで、ちょっと胡散臭い気もしますが、今のところこういったことが健康に良いという根拠になっているようです。
そもそもコーヒーの類は嗜好品ですから、健康にいいかということよりも、適量を自分の好みに合わせて取ればよいと私は思っています。
ブラックコーヒーは私は苦手で、ミルクなしでは飲めませんが、一開業医の眼科スタッフの中でもこんなにブラックコーヒーが好きな人がいるということは、意外とブラックが好きな人が多いのかもしれません。
ここからが本題ですが、2021年12月に米ノースタン大学のCornelis氏と米ジョージワシントン大学のRob van Dam氏の共著で、Scientific Reports に発表されたものです。
簡単にまとめますと、ブラックコーヒーを好む傾向は遺伝子に組み込まれているようで、実際にその味が好きなわけでは無く、カフェインを素早く代謝できる遺伝子を持っており、苦い味とカフェインにより得られる刺激を関連付けている ということです。
ブラックコーヒーを好む人で確認された遺伝子変異は、味ではなくカフェイン代謝の速さに関連している。
そのためにカフェインが急速に代謝されてしまい、その刺激作用もすぐに消失してしまい、コーヒーをもっと飲みたくなるのだろう と説明しています。
こういう人は、カフェインの自然の苦みを、精神刺激作用と同一視しており、苦みをカフェインやそれによる高揚感に関連付けるようになっている。
カフェインのことを考えると、苦みが連想され、ブラックコーヒーを好むのだろうとのこと。
真偽のほどは定かではないというと、両先生に怒られそうですが、ともかくブラックコーヒーを好む人のマーカーになり得る遺伝子変異が確認されたということは確かなようです。