このタイトルは、福井大学眼科の高村先生の投稿をそのままパクったものです。
糖尿病は病気そのものより、合併症が心配というのはよく聞かされることです。
眼科における網膜症と腎臓の機能障害のための血液透析との関係について、考察された論文です。
日本を含めアジアでは、糖尿病性腎臓病の有病率は高いそうで、日本の人工透析患者の有病率は、台湾についで世界第2位。
3位はシンガポール。4位 5位 6位は、タイ 韓国 マレーシア。4位に同位タイの米国が入っていますが、見事にアジア勢が上位を占めています。
アジア各国からの報告によると、網膜症が重症化するほど、腎障害が悪化しやすく、両者の合併により有意に心血管疾患による死亡率が上昇するそうです。
最近でこそ、日本における透析導入患者さんは横ばいになったものの、毎年16000人以上の新規の透析患者さんを生み出している。
慢性糸球体腎炎が減少し、糖尿病性腎症が増加し、透析患者の約4割を占めているとのことです。
一方糖尿病性黄斑浮腫の患者さんは、血液透析の導入により、黄斑部の厚みが減少して浮腫が改善し、視力も向上することが分かったそうです。
ただし、導入時の視力が0.4未満の場合は、残念ながらその相関関係は証明できなかった。
眼科的には、視力が低下する前に、血液透析が導入されることが望ましいことになりますが、患者さん的には、身体的 経済的 精神的負担は大きく、推奨できないと書かれています。
私も含め眼科医として、高村先生が書かれていることは傾聴に値するのですが、眼科医はとかくHbA1cのみを評価しがちだけれど、腎障害と網膜症が互いに悪影響をもたらす以上、腎機能の指標に対して、もっと注意を払うべきだと書かれていました。