参天製薬は、緑内障患者さんをサポートするための情報マガジンという情報誌を出していますが、2月号をMRさんが持ってきてくれました。
そこに、東大の眼科学教室教授の相原一先生がとても分かりやすい文章で、緑内障患者さんは、視野が欠けて見えるというのは、自分では気付きにくものだということを書かれていました。
それをここに要約します。
片方の目の視野は、左右方向に160度(鼻側 60度 耳側 120度)両方の目で見ると、左右の中心約120度が重なっています。
普段左右の目の画像を同時に頭で認識して(同時視)、それをぴったり合わせて(融像) 立体的に見る(立体視)両眼視で見ています。
視野は広いのですが、目の中心(黄斑部)でしか視力を出すことができない為、中心から離れると0.1位しか視力を出すことはできません。
ですから、例えば字を読むとき、ピントを合わせているところは読めますが、2~3行離れた所は文字を読むことはできないわけです。
緑内障とは、視神経の中心部分(視神経乳頭)が眼圧で圧迫されて、網膜から脳への情報を送る線維が少しずつ減ってくる病気です。
線維の減り方には特徴があり、視野でいうと鼻側の視野が欠けることが殆どです。
ところが先に述べたように、例え両側の鼻側の視野が欠けてきていても、両眼で見ている場合は殆ど気付きません。
そのため初期・中期の緑内障患者さんは両眼視している以上殆ど気付かないですし、治療を開始してからも自覚症状はあまりありません。
且つ中心視野の下の方は最後まで残りやすいので、視力も末期まで落ちません。
実際に視野が欠けていても、脳が勝手に周りから類推して、あたかも見えているかのように、視野を補うこともあります。
片目で見て初めて視野にぼやけがあることに気付きますが、暗くなるのではなく、霧がかかった感じでそれがだんだん濃い霧がかかったような状態となるのです。
明るくも暗くもなく、色もない。
そのため、緑内障は末期まで気付きにくく、厄介な病気なのです。
視野がぼやけてきたら、白内障かと思いこまず、眼科受診を考えてください。
以上が相原先生の文章の要約です。
権威ある大学の先生が、こんなにわかりやすく患者さんに向けて書いておられたので、是非皆さんにお知らせしたいと思いました。