ストレスによる影響が身体に現れた状態を、心身症と言いますが、眼科の分野でも特に多いのが心因性視力障害です。
眼科以外の分野の方がむしろ有名で、例えばストレスで心臓がドキドキして苦しくなる心臓神経症 食欲が落ち胃が痛くなったり吐血にまで至る胃潰瘍 円形脱毛症 等。
眼科における心身症の中で、心因性視力障害以外には、例えば眼瞼痙攣 チック 夜盲症 視野狭窄 色視症(全体がピンク色に見える等の表現)などがありますが、今回は特にこの視力が低下していると学校などから通知があって来院することが多い心因性視力障害についてです。
以前はギャングエイジと呼ばれる小学校3~4年の子供たちに多かったのですが、最近はもっと幅広く中学生になっても心因性視力障害の子供がいます。
視力低下は0.5~0.6位のことが多いのですが、時に0.1を切っていることもあります。
女子が男子の3~4倍多く、回復までの期間はケースバイケースですし、一旦よくなって再発という場合も稀にあります。
他の病気が隠れているということがなければ、失明することは無く、平均的には3か月以内に、70~80%の子供が視力検査で1.0に回復するといわれています。
眼科の検査も発達してきているので、眼底検査やOCT検査 フリッカー検査などで、真の病気が隠れていないかを検査しますが、特に問題ない場合は心因性視力障害という診断で、経過観察となります。
ご両親が心配される場合は、大学病院などでCTや眼科特有の電気生理学検査などのために紹介することも極まれにあります。
大学病院へ行くという新たなストレスが功を奏して?外来受診するだけでいきなり視力がでた場合もあります。
ストレスの原因は、はっきりすることもありますが、よくわからない場合もあり、むしろ心理学的な治療をするよりも、視力のことをあまり話題にせず大らかに接することで自然に回復することが多いです。