白内障診断というのは、眼科医の診察においては日常的なことです。
眼科における病気の中でも、白内障は最も歴史あるものですから、手術の歴史も長く、手術器具の発展とも相まって術式も洗練され、改良が続いています。
白内障の程度分類といったことも、かなり熱心に学会発表されていた時代もありました。
例えば、核白内障のグレード分類は何通りかありますし、日本独自の分類といったものもありました。
主に白内障の核の色合いと硬さで分類するものでした。
透明のものを正常とすると、グレードⅠ~Ⅴにわけ、Ⅰは白 Ⅱ黄 Ⅲ橙 Ⅳ茶 Ⅴ黒
Ⅰ~Ⅱは柔らかく Ⅲは中ぐらい Ⅳは硬 Ⅴ非常に硬い
これは今から40年位前の分類法ですが、他のも大体色合いと硬さで分類するという点は同じです。
もちろん硬く色合いが濃いほど難症例であることは間違いないので、意味がないことはないのですが、こういったことが学会のメインテーマとなることは、最早ありません。
核の色調がそれほど強くなくても、後嚢下白内障はかなり視力の低下スピードは速く、患者さんにとっては心配の種になっていることもあります。
こういった先人の分類を尊重しつつ、生活に見合った視力を確保するために、個別的な手術適応が考慮できる時代になったことは、嬉しい進歩だと思います。