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新型コロナウイルス蔓延下の急性心筋梗塞 | 伊丹市の眼科|宮の前眼科|白内障手術・硝子体手術・斜視手術

新型コロナウイルス蔓延下の急性心筋梗塞

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2021/10/17担当:山本 洋子
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今回は畑違いの心筋梗塞の話題です。

 

皆さんは、眼科の病気以上に心筋梗塞のことはよくご存知でしょうが、その治療については、日本は世界に誇る結果を残しているそうです。

 

以下は、日本心血管PCI治療学会理事長の伊刈 裕二先生の書かれたペーパーからの抜粋です。

 

急性心筋梗塞の治療は、発症後可及的早期に、冠動脈インターベンション(PCI)と呼ばれるカテーテル治療を1分でも早く行うことで、死亡率を10分の1以下に低下させることができる。

 

病院の入り口を通過してからPCI治療で血流が再還流するまで90分以内が推奨されており、日本では約90%が達成されている。

 

そのため、PCI治療に対する保険点数も、90分以内に行われたかどうかで、差をつけられており、緊急胸痛患者は、心電図をとり診断がつけば直ちに心臓カテーテルを開始するのが、世界標準の方法だった。

 

ところが、新型コロナ感染症の蔓延下では、PCI治療の前にコロナ感染の鑑別検査が必要なため、90分以内を達成することが困難な状況になる。

 

PCR検査は、当初結果は翌日 最近では院内で迅速検査ができるようになったとはいえ、4~5時間はかかる。

 

先程の90分以内の話とは矛盾するようですが、先生によりますと、2004年に米国では心筋梗塞治療のガイドラインに90分という指標が記載されたが、2007年には消滅し、日本でも2018年に削除。

 

ヨーロッパのガイドラインには、一度も記載されたことがないそうです。

 

そのため、このコロナ時代に90分以内を強要するのは、現実的ではないと、述べられています。

 

また世界中で、コロナ感染症蔓延下での心筋梗塞受診者は減少し、例えば、ニューヨークでは心筋梗塞の受診者が4割減少し、自宅死亡の検視に回った例が4倍増えたとのことで、この中に、心筋梗塞での死亡者が含まれているのではないかと現地の医師は考察している。

 

ただ日本では、コロナ感染症蔓延で心筋梗塞患者数が一番減少した2020年5月においても、必要な症例の緊急対応は、コロナ対策の上で(防護服着用等)90%以上の施設において、行われていたことを誇りに思うと書かれています。

 

ちょっと混乱するのですが、結局心筋梗塞治療においては、90分という縛りとは関係なく早ければ早いほど良いけれど、90分以内ということにはエビデンスがない。

 

それにもかかわらず、日本国内ではコロナ感染症が蔓延している最盛期ですら、コロナ感染症患者であることを想定の上で、結果が出る前に防護服を着て汗をかきつつ、フェースシールド越しに大変苦労しながら、PCI治療をして下さった循環器専門医が日本には多くいたということだとしたら、医師として尊敬できる姿勢だと思いました。​​​​​​