緑内障があっても白内障の手術を受けることができるのかと、聞かれることがあります。
基本的に、白内障手術を受けることができるかどうか、という決定に緑内障の有無は関係ありません。
ただ、緑内障の治療薬の中で、白内障の術後には使用が禁忌となっている薬にエイベリスという比較的新しい点眼薬がありますので、この薬を使用中の方は、術後点眼薬を変更する必要があります。
緑内障点眼薬の中で、現在ファーストチョイスとされている、プロスタグランディン系の薬の中で最新の薬がこのエイベリスです。
正確には、プロスタグランディン系とは若干異なる作用機序ではありますが、大きなグループ分けではプロスタグランディン系受容体に作動する薬です。
プロスタグランディン系の緑内障薬は、眼圧の降下作用はシャープですが、困った副作用として、瞼の黒ずみ 多毛 ほれ込み(奥目) 等外観にかかわるものがあります。
エイベリスは、こういった副作用の出現頻度はかなり低い ほとんど出ないため、片眼だけの点眼の方や、そういった副作用が出やすい方(この副作用の出方は、個人差や点眼の仕方によってだいぶ差があります)にとっては、喜ばしい薬となっています。
ただ残念なことに、多数ある緑内障治療薬の中で、このエイベリスだけは、白内障術後の方に処方してはいけない禁忌薬となっています。
他に選択できる薬は多くありますし、プロスタグランディン系以外の薬の選択も考慮に入れ、コントロールを続けることは大切です。
緑内障の中でも、隅角が狭くて発症する狭隅角緑内障 または、緑内障はまだ発症していないけれど、急性緑内障発作を未然に予防するためには、むしろ白内障手術は良い選択となることがあります。
時に、緑内障になっているので白内障にならないと思っている方や、白内障手術をすると緑内障や視野の欠損も改善すると思っている方もいると聞きますが、残念ながら病気の成り立ちが全然違いますので、緑内障の症状は白内障の術後も変化はありません。