またこの話?と思う方もおられると思いますが、実は手術が必要な患者さんの多くの方の関心事は、いつ思い切ろうかということではないかと思います。
白内障手術を受ける方の多くは、70代 当院はもう少し高齢の80代以上の方も多い気がします。
60代以下の若い世代の方は、手術を受けることに対してはあまり逡巡がないようで、すでに受けることを決意して来院される方や、諸般の事情で今は受けられないことを伝えた上で、1年後か2年後には手術ということが多いように、思います。
多分誰でも手術を受けるというのは、歓迎できないことだとは思いますが、若い世代は手術のみならず、自己決定をするべきことがまだまだ多いので、決めるということに慣れているからかもしれません。
そんなことは当たり前と思う方は、まだお若いのかもしれません。
緑内障患者さんは、長いお付き合いになりますが、視野が減っていないか、眼圧のコントロールは大丈夫かということが最大のテーマですから、白内障が多少進んでいてもあまり話題に上がらず、案外先延ばしになってしまいます。
このブログを書くきっかけになったのも、そういう80代の患者さんです。
緑内障のコントロールは悪くないのですが、かなり白内障が進んできたのでもう数年前から、手術を勧めてきましたが、まだ大丈夫 或いは受けたくないと言われてあっという間に数年経過。
いよいよご本人も大分不便になってこられたのでしょうか。
いつものように白内障手術を勧めてみたら、今回は珍しく前向きだったので、良かったと思ったのも束の間。
御家族もご来院の上で、死ぬ日も近いのだからやっぱりやめると。
頭もしっかりされているし、お体も健康そうなのに、足が悪いだけなら入院手術という手もあるというお話もしているのに、残念だなと思います。
人の寿命というのは、自分で決めることはできません。
何歳でも明日という日がある保障はありませんが、10年後にまだ元気で活躍している可能性もあります。
若返りにうつつを抜かす必要はありませんが、折角生きることができるなら、自分の身体は大切にメンテナンスをして、ささやかでもそこにいてくれてよかったと、思ってもらえる存在であり続けたいと思います。