このスポットビジョンスクリーナーは、幼い子供の弱視を早期発見することを主目的として、2015年に発売開始されて以来、眼科というより小児科領域の先生に支持されて普及していきました。
フォトスクリーナーとも呼ばれるこの器械は、ちょっと暗めのお部屋で1メートルほど離れた所からまっすぐ前を直視してくれると、1秒で斜視や弱視の疑いも自動判定してくれるというある意味、便利で有難い器械です。
ただこのSVSは、企業主導で販売・普及させたため2018年の時点では、小児科と眼科の間では何の情報提供もされず、小児眼科専門医以外の眼科医はあまり大きな関心は持っていませんでした。
そこで、2018年初めて弱視斜視学会 小児眼科学会が小児科医に向け、マニュアル第1報を作成したことを、眼科医全体に公示し、私達眼科医も認識を共有したといった形でした。
マニュアルによると、まずこの器械では、視力を測ることはできないこと。
あくまでスクリーニングとして診察の補助として使うこと。
3歳未満の低年齢における精度は確立していないこと。
ただし3歳から5歳までのスクリーニングには有効で、感度が高く特異度は低い(また出てきました!)つまり見逃し率は低いけど正常なのに異常と判定してしまうことが多い という意味です。
基準値を基に、器械が自動判定するので、異常値が出たら2回測定し、それを基に眼科医への紹介をしてもらう流れになったとの記述があります。
この基準値というのも、発売元のアメリカにおけるデータを流用しており、日本における基準値は順次作成される予定だそうです。
この器械は、スクリーニング用ですから、保険請求できません。
3歳児検診の際にとても良い器械であることを、改めて認識したわけですが、伊丹市は、その点進んでいて、すでに1年前からこの器械の導入が行われています。
しかも2台も採用しており、有難いことです。
実はこのSVSの導入に対して、積極的だったのは、眼科医というより小児科医側からでした。
予算がつかず、ふるさと納税などで寄付を呼び掛けている自治体もあるのに、2台も予算をとってもらえたというのは、本当に有難いと思います。
宮の前眼科でも約3か月ほど前に、導入しました。
非接触検査ということで、コロナ対策の一環として、政府が補助を出してくれたからです。
子供のスクリーニングということもさることながら、眼科特有の検査を受けることができないご高齢の方の屈折値をおよそ知りたい時にも、役立つと思ったのですが、今のところあまり出番はありません。
この検査は診断には使えませんが、ご希望であれば無料でチェックすることはできますので、お伝えください。