最近流行性角結膜炎の患者さんが散見されます。
この話題は、今までにも何回か書いていますので、疫学や症状についてはそちらを参照していただくとして、今回はこの結膜炎であるアデノウイルスの検査について書いてみたいと思います。
新型コロナウイルスの流行のおかげで、PCR検査や抗原検査 抗体検査などのウイルス感染症の検査については、世間でもよく知られるようになりました。
眼科においては、はやり目かどうかを診断する際に必ずこの検査をするわけではありませんが、学校安全法の第3種に指定されている関係上、強く疑わしい場合は、アデノウイル検査用のキットを利用して迅速診断をするようにしています。
第3種ということは、医師が感染の恐れがないと判断するまでは、出席停止となるので、迷う時にはあるいは、迷うまでもない場合でも白黒はっきりさせる必要がある時は、行っています。
大人の場合は勤務先が学校や幼稚園 保育園 医療機関などは休職した方が良いでしょうし、社内規定によって制限されている場合もあります。
このキットの場合、一般に検出感度は80%です。
検査の信頼性を見る指標には、感度と特異度があり、感度が高ければ特異度が低い。
特異度が高ければ、感度が低い。
というトレードオフの関係にあるため、信頼度100%という検査はありえません。
感度が高いということは、偽陰性が低いつまり陽性者を見逃す率が低い。
特異度が高いということは、偽陽性が低いつまり陰性者を見逃す率が低い。
以前新型コロナウイルスにおけるPCR検査についてのブログを書きましたが、このアデノウイルス検出キットは、抗原定性検査に当たり、患者さんの結膜から採取した分泌物をキットの抽出液に溶かして、判定プレートに垂らすと約7分で判定できます。
7分というのは、感染疑いの患者さんに院内に留まっていただく時間としては許容範囲だと思います。
陽性であれば、アデノウイルス感染として確定できますが、陰性の場合は、症状によってかなり疑わしい場合は、はやり目対策を充分して頂くように伝える一方、症状や所見がはやり目と似ている他の病気 例えばクラミジア結膜炎や何らかの強いアレルギー性の結膜炎をも考慮に入れる必要があることになります。