白内障手術の際には、もはや人工水晶体を挿入して手術を終えることがほぼ全例です。
難症例で二次挿入となることはあり得ますが、当院においてもそれはかなり稀な出来事です。
最近は患者さんもよくご存知で、そしてネット情報をたくさん持っておられますから、こちらが説明する前にすでに多くの質問を用意しておられる方もおられます。
面白いなと思った患者さんがおられました。
ちゃんとご自分で考えて、自分は長年メガネをかけることが当たり前でメガネが無くなることに却って違和感があるので、手術後もメガネをかける生活を希望するということですから、話しは簡単だと思いました。
そういう際は、詳しい多焦点レンズの話は必要ないという認識ですが、先生ならどちらを選びますか と聞かれるので、私はできたらメガネを使いたくないので、多焦点レンズを選ぶと私の好みを伝えると、多焦点レンズが高いと言っても一生に一度の出来事だからどうしようかなと、元の話に戻ります。
相手に合わせて、自分の好みを変更することもできないですから、内心ちょっと困ったと思ったのですが、メガネをかけることに違和感がないのに、わざわざ高いお金を出す必要はないのではないですか?
と説得を始めます。
好みは人それぞれですし、私は中学生の時からコンタクトレンズを使っていましたので、メガネをかけるのは非常事態と自宅内のみという習慣です。
今後も人工水晶体の開発は進むでしょうが、自分が手術を受けるタイミングで自分にとってのベストを選ぶということが大切だと思います。
より良いものを待って手術を先延ばしするというのも時間の無駄だと思いますし、他人に良いものが自分にも良いとは限らない。
その選択を助けるために、説明をしてこうと思います。