緑内障は、超慢性疾患であることを考えますと、年齢が上がるにつれ有病率が上がることも、当たり前のことです。
一般的に緑内障の安定期の治療は、眼圧を確認し、視野検査や眼底検査を定期的に繰り返し、悪化していないかをチェックしたうえで、点眼薬を変更したり、レーザー治療や手術の適応を検討することに尽きます。
中年期や壮年期の仕事が忙しい世代はもちろんですが、高齢期の方も、どなたかの介助が必要となることもあり、受診が困難になることも想像できます。
高齢者特有の問題としては、
●視野検査はあくまで自覚検査のため、信頼度が落ち、進行度の判定に苦慮する。
●点眼そのものが困難になる。
●角膜が傷みやすくなり、点眼薬の副作用としての角膜びらんなどがでやすくなる。
といったことが考えられますが、点眼薬にまつわる解決策としては、合剤の新薬が多数出ているので、なるべく必要な本数を減らし、点眼の煩雑さや添加剤の副作用を減少させる。
検査法としては、視野検査よりOCT検査を重視する。
治療法としては、狭隅角や落屑症候群のような、白内障の進行が緑内障を悪化させることが明確な場合は、なるべく早めに白内障治療を済ませる。
最近手術頻度が上がってきている、白内障と緑内障を同時に手術する低侵襲緑内障手術も考慮し、点眼本数を減少させることを期待する。
消極的な解決策ではありますが、何らかの都合で受診頻度が少なくならざるを得ない場合は、処方本数を確保し、可能な限り点眼を続ける。
穏当に行けば、誰でも高齢者になるのですから、他人事と思わず、自分事としてそれぞれの立場で、優しい気持ちでありたいと思います。