いわゆる加齢性の白内障の場合、程度の差はあっても両眼に起きていることが多いです。
一般的には、程度の進んでいる目を先に手術し、翌週または翌々週にもう片眼の手術となります。
その際、手術をした目の方が、手術が終わっていない目より良く見えることが多いですから、軽いと思っていた白内障が意外と進んでいることに気付くことになります。
術後、家の電気がとても明るく感じたり、台所の汚れや家の埃が目立つといった表現の方が多いのですが、たまに遠くの山の稜線がはっきり見えるようになったとか、夜空の星が良く見えるといった詩的な表現の方もいます。
ただ、意外に思うことは、必ずしも視力と一致していないということです。
かなりよく見えるようになったとこちらは思うのですが、まあこんなものでしょといった感じの方もおられますし、夜空の星まではちょっと無理かもしれないと私は思うのですが、そういって喜んでもらえる方もおられます。
片眼だけの手術は、若い方の白内障手術でもう片眼がきれいである場合や、予定が詰まっていて日程的にタイトな場合 体調不良や慎重な患者さんでどうしても片眼だけで様子を見たいといったリクエストがあるときです。
概ね両眼を1~2週間の間に手術を行うということが多いのですが、手術によって視力が良くなったと実感できるのは、やはり圧倒的に両眼の手術を同じタイミングで受けた方に多いと思います。
日帰り白内障手術でも、両眼同時手術を積極的に行っている施設が増えてきました。
当院では、まだ積極的な取り組みにはなっていませんが、感染症リスクや手術の安全性が担保されてきた現状を踏まえ、また医療費の節減にもなることを考えると、患者さんの希望があれば、取り組んでいこうと思います。
同時手術が向く方、向かない方がありますし、眼科的にも適応を考える必要があります。
ただ、眼科同様高齢の患者さんが多い整形外科の領域でも、術後のリハビリや手術負担を考えて、両側同時手術が増えてきていることもふまえ、時代に即した考え方は取り入れたいと思います。