ものもらい、めいぼ、めばちこ、いろんな名前がありますが、まぶたのできもののことです。ばい菌の感染で起こる麦粒腫(ばくりゅうしゅ)と、マイボーム腺の炎症で起こる霰粒腫(さんりゅうしゅ)と、大きく二種類あります。強く目を閉じたり、まぶたを押したりして痛いものは麦粒腫で、抗菌剤の目薬や軟膏でほとんど治ります。触るとしこりがあって、あまり痛みのないのが霰粒腫です。こちらはステロイドなど消炎剤の目薬や軟膏も併用して治療します。
目薬で治りにくく、比較的大きくて目立つ場合は、ステロイド剤の注射や、手術での摘出を行います。海外の先生には笑われてしまうのですが、日本では霰粒腫の手術も、手術室あるいはそれに準じた設備で行います。感染症に対する文化の違いのようです。
手術といっても短時間なので、麻酔の注射が我慢できるくらい(女の子だと小学校高学年くらい)になると、局所麻酔で可能です。ですが、もっと小さなお子さんの場合は手術に全身麻酔が必要となるため、踏みきるタイミングが難しいです。通院して目薬していてもよくならないし、明後日は保育園での発表会があるので早く切って治してほしい、といった要望に、困ってしまうことがあります。
小さいお子さんではほとんどの場合、時間がたつと自然につぶれて治るので、手術にいたることはあまりありません。また治癒力も強いので、つぶれても傷あとは分からないくらいきれいに治ります。とっても心配で、早く切って治してあげたい、という気持ちは理解できますが、自分の子供なら全身麻酔をかけて手術をするかというと・・・しません。(前沢義典)