今回は目薬(点眼)の大切さについてのお話です。早速ですが、目薬を処方されたら、みなさんはどれくらいきちんと点眼していますか。「100%きっちり点眼しています」という人はおそらく少なくて、「ときどき忘れてしまう」「実を言うと最初はやってたけど、ほとんどしてない」なんていう人が実際は多いのではないでしょうか。眼科医の立場からは「点眼を忘れるのは仕方ないですね」とはなかなか言いにくいのですが、現実的には仕事などで忙しかったりすればどうしても忘れてしまうことはあるかもしれません。
例えば疲れ目や目ヤニなどに対する目薬であれば、それは少々忘れてしまっても病気の予後にはあまり影響はしません。しかしながら緑内障の人、手術後の人、重症な感染症の人などの場合、目薬を忘れてしまうとその後の経過が大きく変わってしまうことがあるのです。
眼科の病気の中でも、緑内障は失明原因の第1位なのですが、特に緑内障では点眼を毎日きちんとすることがとても重要です。緑内障は基本的に慢性的でゆっくりと何年もかかって進行する病気ですが、点眼をするのとしないのとでは将来的な状態がかなり違ってきます。とある調査によると、緑内障と診断されてから3〜4割の患者さんは病院にも来なくなってしまうというデータもあります。緑内障は症状が出にくいので、「点眼しなくてもそんなに変わらないんじゃないの」と安易に考えて点眼をしなくなってしまい、さらには眼科にも通院しなくなってしまうこともしばしばあるようです。
目薬を忘れないためには、目薬がとても大切なのだということをまずよく自覚することです。また目薬を忘れないように癖をつける、目の届くところに必ず置いておく、日記みたいに点眼カレンダーのようなチェックできるものに点眼したらチェックを入れる、などなど工夫しながら目薬を毎日するように注意して欲しいものです。