一般的に眼科では眼軸長(目の長さ)の測定を、主に白内障手術のための検査として行っています。眼軸長や角膜のかたち等のデータを用いて、手術で挿入する眼内レンズの度数を決定します。白内障手術の精度向上のため、とても大切な術前検査のひとつです。
私が研修医だったころまで、眼軸長は超音波を使って測定していました。目薬の麻酔を使って、タッチペンのようなものを眼球の表面に当てて行うので、もちろん痛みはないのですが、患者さんにとってはなかなか恐ろしい検査でした。近年、この検査は光学的眼軸長測定という方法で行うのが主流になっています。患者さんは十数秒間、小さな光を見ているだけで、目に直接触ることなく、短時間で安全に、より精度の高い検査ができます。白内障手術の精度向上に貢献し、急速に普及しました。
一方、以前当ブログでもご紹介しましたが、小学生の近視は、眼軸長が伸びることによって進行します。背が伸びるように眼球も少しずつ大きくなり、網膜(カメラでいうフィルム)までの距離が遠くなるので、ピントのボケが進むのです。
そこで当院では、小児眼科外来でもこの光学的眼軸長測定を行っています。お子さんの場合、通常の視力検査や器械による近視度数の測定だけでは、結果にばらつきが出ることが多いので、本当に近視が進んでいるのかいないのか、判定に困ることがあります。そのため最近では、近視の状態を正確に見極めるために、眼軸長測定が必須の検査となっています。
正確な近視の程度、進行具合が分からない、眼鏡をかけた方がよいか判断できない、とお悩みの方は、ぜひ当院を受診してみてください。(前沢義典)