前回までは涙のはなしについて解説してみました。今回はその中で涙の通り道である「涙道」がつまる病気、すなわち涙道閉塞について説明します。患者さんから、「涙腺がつまって涙があふれる」などと聞くことがしばしばあるのですが、正確には涙腺は涙を分泌する器官ですから、涙道がつまるというのが正解です。
涙道閉塞には生まれつき閉塞している「先天性」のものと、加齢とともに起こったりする「後天性」のものとがあります。そして、涙道閉塞は主に涙小管あるいは鼻涙管で閉塞して起こります。先天性の場合は鼻涙管が閉塞して起こりますが、後天性の場合にはどちらでも閉塞が起こり得ます。
症状としてはもちろん涙があふれるという症状がメインですが、涙がよどむことで老廃物が溜まりやすくなって、「眼脂(目やに)」がたくさん出るといった症状を起こすことも多いです。
治療法は先天性の場合には基本的に1〜2歳で自然に閉塞が治ることが圧倒的に多く、通常は点眼などで経過観察することがほとんどです。それでも改善しなければ手術することもあります。後天性では自然に治ることはまずないので、手術によって治すことになります。手術については次回のブログで解説したいと思います。