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白内障・網膜硝子体・緑内障・涙道・斜視の日帰り手術専門クリニック
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近視についての話題

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2017/07/14担当:野宗研志
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本日は近視についてのお話です。以前に前沢先生のブログでも詳しく解説してもらっていますが、たまたま眼科のとある学会に参加しまして、慶應義塾大学眼科の坪田教授の近視についての最新の話を聞いてきました。とても興味深い話でしたので、皆様にも少し紹介したいと思います。

近年、近視の低年齢化がとても心配されていますが、確かに小さな子たちでも眼鏡をかけていることが本当に増えているような気がします。近視になる子供たちがどんどん増えているのは日本に限ったことではなく、全世界中でも大きな社会問題となっているようです。近視というのはひどくなればなるほど、他の色々な目の病気に発展してゆく危険があって、例えば網膜剥離や緑内障などを引き起こすリスクは高くなってしまいます。ですから、まずはいかに近視の発症を防ぐか、また発症する年齢が小さいほど近視は進みやすいのでいかに発症年齢を遅らせるのか、さらに発症してしまった後はいかに進行を食いとどめるかなどがとても重要になります。

これら近視の発症や進行については遺伝よりも環境が大きく左右します。代表的なものには近業作業(近い距離で細かいものを見ること)が近視進行のリスクになることや屋外活動は逆に予防になることなどが言われています。そして実は私自身も知らなかったのですが、「屋外活動」というものの方が「近業作業」を減らすことよりも予防効果が高いらしいのです。

例えば今から何十年も前には低年齢で近視になるような子供たちは5人に1人とかのレベルだったそうで、その当時の子供たちの屋外活動時間は3時間以上もあったそうです。ところが近年は屋外で遊ぶ時間などは30分程度にまで短くなっていて、近視になる率もかなりの高確率になっています。日本の小学生での近視のデータというのは意外にもきちんとしたものはほとんどないそうですが、慶應義塾大学では関東のとある小学校で調べたところ、ちょっと細かい数字は忘れてしまったのですが実に80%以上が近視で、さらに慶応中学でのデータではなんと95%の中学生が近視だというのです。

ではそもそもなぜ「屋外活動」がいいのか、これについては諸説あるそうです。その中で慶応大学が注目したのが「バイオレットライト」つまり屋外にいると自然に浴びている可視光線のうち、紫色の光を浴びることが近視の予防になる可能性が大いにあるという話をされていました。ちなみに世の中の窓ガラスはこの「バイオレットライト」を完全にさえぎってしまうそうですので、いくら部屋に日光が入ってきても紫色の光は遮断されてしまって、屋内では浴びることは全くできないそうです。よりしっかりとした検証は今後行われてゆくそうですが、実験データではかなり有力な説のように感じました。

近視については、ありふれた病気でありながらまだまだ完全な解決法がないのが現状かと思います。最近の子供はなかなか外で遊ばせるにしても温暖化などで外は暑いし、また昔に比べて道路や公園などにしても自由に走り回ることはなかなか難しくなっています。それに勉強なども今の子供たちは昔に比べて時間が増えていますから、一筋縄には屋外活動を増やすのは難しそうです。

ちなみに最近ではスマホやタブレット他、至近距離で細かいものを見る習慣が増えているかと思いますが、もちろんこれも近視の進行のリスクになることは確かですので、是非これらにも気をつけてゆきたいものですね。