さて今回は網膜剥離の治療法についてお話したいと思います。一般的に、治療法には大きく分けて二つあります。すなわち「レーザー治療」と「手術」です。簡単に言うと軽症の場合にはレーザー、重症の場合には手術を選択することになります。
まずはレーザー治療についてですが、これは網膜剥離の範囲が狭い場合に行う治療です。レーザー治療では剥離してしまった網膜をくっつける訳ではなく、剥離した網膜の外側にレーザー光線を照射して網膜とその土台に炎症を引き起こさせることによって、網膜を強固に癒着させることを目的としています。イメージとしては、それ以上網膜が剥がれて来ないように、周りを糊付けするような感じです。
レーザー治療の利点は手術のように切ったり縫ったりしないですし出血も起こすことなく治療できる点です。しかし欠点としては剥がれた部分はそのままですので、その部分の視野は欠損したままになってしまう点です。ただ網膜剥離の範囲が狭ければほとんど視野に異常が出ませんし、通常の網膜剥離は眼球の端っこで起こりやすいため、少々の剥離であればレーザー治療でまず問題はありません。ところが網膜剥離の範囲が広ければ、視野もそれだけ欠損してしまいますから、レーザー治療では視野の見えにくい部分がそれなりに残ってしまうため、手術によって治療することが必要となります。
また、レーザー治療を適切に行えばほとんどの場合、手術までは必要がないのですが、網膜剥離の勢いが強い場合、あるいは新しく網膜裂孔が発生してしまった場合などには、再度レーザー治療を行うか、あるいは手術まで必要となる可能性もあります。
それでは次回は手術について詳しい解説をしたいと思います。