はやり目という名前をきかれたことはあるでしょうか?
結膜炎 その中でもウイルス感染で発症し、比較的治癒に時間がかかり、人にもうつす可能性のある、人騒がせな結膜炎のことです。
ウイルス性というだけに、風邪症状が先行することも珍しくなく、耳の前のリンパ節が腫れたりすることもあります。
幼い子供はアッカンベーをした時の、下まぶたの内側に白い膜(偽膜)が張ることもあり、異物感が強いときには、ピンセットでそっと剥がします。
でも結膜炎ですので、時間がかかったり、多少症状が強くても、時が経てば必ず治ります。
ただはやり目の正式名称は、流行性角結膜炎といい、時に角膜に点状の混濁を伴うことがあることが問題です。
大体結膜炎の派手な症状が治まる頃に出てくるので、安心してもう来院されない人も多く、角膜の点状混濁に気づくのが遅れることがあります。
その際ステロイド点眼をすることにより軽快しますが、体調をくずすと再発したり、慢性化することもあります。
最近目が霞むということで、来院した患者さんも同様のケースでした。
ご自分の奥さんと子供さんが、当院を受診し、はやり目ということで点眼薬をさしたら、わりとすぐ良くなった。どうやら自分が感染源だったようで、子どもたちが結膜炎になる前に自分も同じような症状があったけど、充血や目やにといった不快症状がなくなって良かったと思ったら、何だか目が霞んでいるような気がする、ということです。
やはり上記した角膜混濁を来していましたので、早速ステロイド点眼を処方し、2週間後に来られたときには混濁は、随分良くなっていましたが、眼圧が高くなっており、ステロイド点眼を中止。更に2週間後に来院されたときには、眼圧は正常化していましたが、角膜の混濁が増えているという、何ともジレンマのある状態。
ステロイド系の薬に反応し、眼圧が上る人をステロイドレスポンダーと呼びます。
特に頭痛や、眼球の痛み、充血といったわかりやすい症状が一切ないことが殆どで、知らずに使い続け高眼圧が続くと緑内障になってしまいます。
角膜混濁も困りますが、緑内障はもっと困るということで、治療する側もジレンマに陥ります。
はやり目やアレルギー性結膜炎で出す弱めのステロイド点眼で眼圧が上がることはまれですが、軽いと一般に思われる病気も、やはり慎重な取り組みが大切と教えられました。