さて、今回からは眼科疾患の中でも最も聞き馴染みのある病気、「白内障」について、詳しく説明したいと思います。第一回目として、まず白内障がどのようにして起こるのか、ということについて説明します。
白内障とは眼球の中にある「水晶体」という部分が濁る病気ですが、水晶体は本来はほぼ無色透明であり、カメラに例えるとレンズの働きをしています。そもそも、われわれの体というのはごく小さな細胞が集まってできているのですが、水晶体も当然、小さな細胞が集まってできています。そして水晶体の細胞の中に含まれるものとしては、「タンパク質」や「水」があるのですが、白内障ではこのタンパク質の性質が変化することによって濁ってしまいます。
例えばですが、目玉焼きをイメージしてみて下さい。生卵の状態では、卵の白身の部分は透明ですが、これを加熱しますと当然白く色が変わってゆきます。これは卵の白身に含まれている「タンパク質」の性質が熱を加えることによって変化することで起こるのです。白内障もこれと似たイメージで考えることができます。