今日は前のブログに引き続き「結膜弛緩症」の治療法についてのお話です。治療法には大きく分けて2種類あります。まず一つは点眼による治療です。結膜弛緩症では弛緩した結膜がまばたきする度に目の表面と干渉してしまいますが、これにより表面の角膜や結膜に浅い傷ができてしまうことがあります。また弛緩した結膜のために涙がきれいに目の表面に広がりにくくなるため、ドライアイの状態となり目の表面に傷ができたりもします。このようなケースではドライアイに基づく点眼薬が効く場合があります。
次にもう一つの治療法としては外科的治療、すなわち手術があります。手術によって弛緩した結膜を治すことになりますが、結膜がピーンと張るように何ヶ所か糸で結んで伸ばしてあげる方法や、余ってたるんだ結膜自体を切除してしまう方法などがあります。特に結膜弛緩症によって涙があふれる状態となったケースでは点眼薬をしても全く改善しないため、このような手術が効果的です。手術は20分程度で日帰りでできますし、まず危険な合併症はありません。ただし手術直後は縫合した糸によって異物感がしばらく出たり、充血したりしてしまいます。安全でおおむね経過も良好な手術と言えますが、手術がうまくできたとしても自覚症状が100%なくなるとは残念ながら言い切れませんので、その点はご了承いただく必要があります。
以上、3回にわたり解説してきましたが、結膜弛緩症はつい見落とされがちな疾患の一つでもあり、さらに実は意外とこの疾患に当てはまることも多いですので、もしそうかもと思われましたら一度外来にお越し下さい。