本日は前回に引き続き「眼瞼けいれん」の治療についてお話します。
治療法はいくつかありますが、「眼瞼けいれん」に対する根治的な治療は残念ながら確立されていません。そこで治療としては症状を緩和させる対症療法になります。
例えば、よくある症状で「まぶしい」というものがありますが、これには遮光眼鏡(サングラス)が有効な場合があります。他には抗けいれん薬や抗不安薬などの内服薬を処方する場合があります。眼科ではこれらの内服薬はほとんど取り扱っておらず実際には神経内科や精神科などで処方されることがありますが、一般的に効果は低いと言えます。そこで治療法として最も有効で広く普及しているのが「ボトックス注射」です。
ボトックス注射はボツリヌス菌という菌の毒素を安全な濃度まで薄め、ごく少量を患部に注射するというものです。効果については個人差がありますが、注射してから1〜2週間以内に効果が現れて、だいたい3〜4ヶ月程度効果は持続します。私の印象としては5人に1人くらいは1回の注射で症状がかなり改善して、そのまま長期間よい状態が続くのですが、ほとんどの場合は反復して投与が必要です。1回の施術は5分程度と短く簡単で、重篤な合併症が起こることもまずありません。注射はどうしても少し痛みを感じますが、多くの患者さんは今まで非常に強かった症状が緩和するので、「少しは痛かったけどまた注射して欲しい」という人がほとんどです。
また瞼がほとんど閉じてしまって開けられないような高度な眼瞼けいれんでは、外科的手術を選択する場合があります。眼輪筋大量切除術、前頭筋吊り上げ術といった手術法ですが、その効果もまちまちです。
以上、3回にわたって解説しましたが、このブログを読んで眼瞼けいれんかも、と思われた方、是非一度当院を受診下さい。