
以前もドラッグストアやAmazon等で買えるOTC類似薬について書きました。
この件に関しての、日本医師会の意見が発表されていました。
日本医師会という団体に対して、世間一般 あるいは政治家によっては、医師の利益を守るための団体として、あまり好意的にみられていない節があります。
町の一開業医としての私の感想は、地元の医師会と違い、テレビで拝見する程度の方々ですから、親しみはありませんし、医師の利益を守る という意味では、あまり実感することはありません。
ただし、たとえばインフルエンザやコロナ等の日本のみならず世界を巻き込むような大感染症が起きた時、私達医師に対して本来の医師としての働きを有効利用するために、指揮をとってくれるという意味では、大きな力を持っています。
ですから、今回のOTC類似薬に対しての意見を確認することにしました。
大きく三つあり、1.医療機関の受診控えによる健康被害 2.経済的負担の増加の懸念 3.薬の不適正使用の懸念
1.と2.については、OTC類似薬というものについて、0.1%ヒアレインという点眼薬を例に書いたので、それを参照していただきたいのですが、総合的な患者さんの負担という意味では、診察代を加味して考えないと、薬代だけの比較では、片手落ちかもしれません。
自己負担割合は、1~3割以外にも0割 という方もおり、例えば自治体によっても違いますが、子供たちの自己負担割合は、かなりの年齢になるまで0割ということもありますし、高齢者の自己負担割合は、所得と年齢に応じてですが、3割の方もおられますが、1割~2割が多いです。
生活保護の方たちは、もちろん0割です。
そうすると、診察を受けたくても受けにくい多忙な人たちは大体3割負担ですから、そういう人達がOTC類似薬を歓迎するということになるのだと思います。
どのような方が、OTC類似薬を選出しているのかは、知りませんが、副作用のほとんどない安全な薬であること 点眼薬はものすごく多くの種類が市販されていますが、そういったものとの線引きも必要だと思います。
保険点数とOTC類似薬との値段の違いもどうしてなのかは、疑問を持つ方も多いでしょう。
製薬メーカーも、OTC類似薬を出したからには、保険適応から外れることは、覚悟しなければいけないとも思います。むしろ保険適応を外してほしい と考えているのでしょうか。
3.については、適正使用が難しいと思われる薬品は、OTC類似薬に指定してはいけないと思います。
他科の話は分かりませんが、今後OTC類似薬にいれる候補の薬として、ヒアレイン同様のドライアイの薬として、ジクアス点眼やムコスタ点眼といった処方の際に、考慮が必要な薬も入っている という情報を得ました。
ムコスタ点眼というのは、症状の重い患者さんに出す薬ですが、使い方によっては副作用もありますし、使い方をよく説明しないと、不快感が出る医薬品です。
こういう薬を単なるドライアイの薬と同列に扱うということは、OTC類似薬の選択も、薬理知識の欠如した人が決めているのかと、少々義憤を感じます。
おそらく薬品メーカーの研究者や、眼科学会等がそういったことは阻止してくれると、信じていますが、心配なことも多いです。