術後点眼や緑内障の患者さんは、複数の点眼薬をさす必要が有る場合がありますが、慣習的と言っていいほど5分間隔で と伝えていますが、これは根拠があることなのか疑問に思っていました。
なぜなら、その昔私が研修医だった時代には、日帰り手術は始まりつつありましたが、白内障といえど入院手術が多かった時代だったのですが、その際は、病棟の看護師さんが大変忙しく、次々と点眼薬をさしている様を見ていたからです。
そのことに疑問も感じていませんでしたが、日帰り手術が全盛の現在、点眼は、もちろん患者さんの自己管理ですが、5分間隔ということは守るべき掟なのかどうかを知りたいと思いました。
点眼薬のメーカーのHPをのぞいてみましたが、結局根拠となる記載として、参天製薬の1976年!の実験データを発見しました。
ピロカルピン点眼(緑内障治療薬)をウサギにさした後、生食水を点眼し、前房内のピロカルピン濃度を確認したものです。
それによりますと、30秒後に点眼すると25% 1分だと50% 2分で75% そして5分経つとほぼ100%だった とのことです。
後からさした点眼液が先のものを洗い流してしまうので、大切な薬は後からというのは、研修医時代に習いました。ただ現在は当時よりも薬の性状も異なるものが増えています。
懸濁液などは、ドロッとしているので、後からさす薬の浸透が悪くなるので、一番最後がいいですし、さすときは液体だけれど、点眼後ドロッとす(ゲル化する)点眼薬の場合は、ゲル化した状態は目に長時間留まることで、有効成分を放出するということですから、これも最後の点眼がのぞましい。
この薬の代表格が、チモプトールXE ミケランLA ミケルナ リズモンTG ときに次の点眼は10分あけることが望ましい と書かれていることがあります。
更に眼軟膏は最もベタベタするので、これこそ最終点入ですが、2種類の軟膏を入れる場合は、眼内に入れて、べたべた感が取れるまでは2剤目を待つ となっています。
順番は特にどれが先でないといけないということはありませんが、ベタベタ感が取れる頃には吸収されているということです。
結論的には、やはり念のため点眼感覚は5分ほどあけるのが正解ですが、そのまま点眼を忘れることを思うと、たとえ50%になったとしても、0よりいいのではないか という考えもあり、緑内障点眼薬が合剤化して瓶数が減ったことの恩恵を改めて感じました。