眼圧というのは、眼球をボールに例えると、ボールの硬さを示しものと考えるとわかりやすいと思います。眼圧が高いというのは、硬いボール、低いのは柔らかいボールというわけです。
程よい硬さには、個体差があって、正常上限といわれる21mmHgを上回っていても問題ない方もいれば、正常範囲内におさまっていても、緑内障を発症してしまう方もいます。(正常眼圧緑内障)
ですから、普段の自分の眼圧を知っていることは大切です。
眼圧には日内変動があり、正常でも3~6mmHgほどの変動があるといわれています。
眼圧測定には、主にノンコンタクトトノメーター(ノンコン)という器械で検査員が測る方法と、ゴールドマン眼圧計という診察台の細隙灯に付属したチップで医師が測る方法があります。
それぞれ長所短所があります。
ノンコンは、器械から空気の塊が吹き出てきて、角膜に接触することなく測れるので感染症の心配がなくていいのですが、やや計測値にばらつきがあるといわれています。
ゴールドマンは、チップを角膜に接触させて測るので感染症の心配や、麻酔の点眼が必要なこと、色素をつけるので目の周りが黄色くなってしまうことが短所ですが、正確性はノンコンより高いといわれています。
先程も書きましたように、眼圧値は日内変動があること、正確といわれているゴールドマンでもダイアルの回し方で1~2の値はすぐ変わることなどより、外来受診の度に値が変動することがあります。
夜寝る体位は、眼圧が上がりやすく、座位のほうが低い。寒い冬のほうが眼圧が上がりやすい。角膜の厚みと眼圧は連動するので、LASIK等近視矯正手術を受けていると角膜が薄くなっているため低めにでやすい。測定の時に瞼を強く持ち上げると眼圧が高くでる。考えつくだけでもちょっとしたことが、眼圧の測定値に影響します。
日内変動もあるわけですから、診察時の眼圧というのは、時々刻々と変化しています。
緑内障の治療を続ける上でとても大切な指標ですが、一回ごとの数字もさることながら、月単位でもしくは年単位で、上がろうとしているのか、一定なのか、下がってきているのかを注意深く見守る必要があります。
先週の眼科医対象の勉強会で、東大の眼科教授の相原一先生のレクチャーがありましたが、その時、緑内障専門医の相原先生ですら、眼圧測定は何年眼科医をしていても、自信をもって正確であるといいきることはできないと語られていました。
とても謙虚な方だなと尊敬の念を覚えました。