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水泡性角膜症

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水泡性角膜症

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2024/10/13担当:山本 洋子
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本日の一番のトピックスは、水泡性角膜症の治療に新しい選択肢ができ、2024年9月1日付で保険収載された ということです。

 

2017年から、京都府立医大病院 京大病院 国立長寿医療研究センター病院の3施設で多施設共同治験を実施し、有効性と安全性が証明された ということです。

 

この成果は、京都府立医大感覚器未来医療学 同大学院研究科 視覚機能再生外科学 等を中心としたものです。

 

資料を精読してみたところ、大変希望が持てる治療のようですし、手技も複雑ではないので、朗報だと思います。

 

また保険収載されかつ高額医療費制度の対象 ということですから、今後適応となる患者さんにとっては、僥倖だと思います。

 

ただまだ黎明期のため、今回は治療法の内容をここで詳しく述べるより、水泡性角膜症とはどういう病気かということを、述べてみたいと思います。

 

病気のターゲットとなるのは、角膜の一番内側にある角膜内皮。

 

今までも何回か書いたことがありますが、角膜内皮は再生することはありません。

 

角膜は、体の中でも特殊な器官で、透明性が最も重要な場所ですが、そのために大切なことは、角膜の水分量が一定に保たれていることです。

 

その角膜の水分量を一定に保つ役割を担っているのが、角膜内皮です。

 

角膜内皮は、先程書いたように、新しく再生されることは無く、年齢とともに内皮細胞は少しずつ減りますが、減少した場合、内皮細胞が一つずつ大きくなることで、補完するのですが、減り過ぎると補完できず角膜内の水分量が多くなり、角膜が混濁し、角膜の一番外側(角膜上皮)に水泡やびらんができ、痛みが出てきます。

 

この状態を水泡性角膜症と呼びます。

 

角膜内皮が傷む原因として、外傷 急性緑内障発作 レーザーによる虹彩切開(緑内障発作時に以前はよく使われていました) 眼内手術 眼内の炎症(ブドウ膜炎等) コンタクトレンズの使用 先天性や遺伝性の病気 加齢 等多くあります。

 

内皮細胞数を数える機器は、手術をする医療機関では大概ありますが、その内皮数が1平方ミリ中2000~3000個あると安心ですが、500を切ると要注意です。

 

できる予防法としては、狭隅角の緑内障発作の場合はレーザーによる虹彩切開を行うよりは、水晶体摘出(白内障手術)を選択する。

 

コンタクトレンズ(特にハード)の長時間 長期間の使用は控える。

 

難症例となる白内障手術は手術時間も長くなりやすく、目に対する負担も大きいため、あまり白内障を長期間放置しない。

 

最後に治療法ですが、今までは視力低下を来した場合は、角膜移植が必要でした。

 

角膜移植も、以前は全層移植といって角膜5層全部の移植でしたが、最近は角膜内皮細胞層のみの移植が主流でした。

 

それがさらに今回の新しい治療法が選択できるようになり、今までの角膜移植よりも、負担が少なく、術後成績がこれから出てくるでしょうが、とても希望が持てる治療法だと私は楽しみにしています。
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