視力検査は眼科では、とても大切にしている検査です。
その反面学校の保健室や、運転免許証の更新で警察で、めがねやさんがあればスーパーでも、またネットでも、チラシに印刷してあれば家でも、ある意味どこででも測れる身近な検査でもあります。
眼科の診療所内で視力を測る際には、室内照度50ルクス以上、視力表の照度500±125ラドルクス 指標のコントラスト比85%以上という約束事があります。
はるか昔の小学校時代、何となく黄ばんだ紙に印刷された指標で視力を測っていた時代とは違い、今では、5m離れた距離で測る視力表ばかりではなく、当院にもありますが、スペースセービングチャートといって、90cmの距離で5m視力表と同等の検査が出来る器械を使ったり、警察や人間ドックでよく見かける、覗き込みタイプの器械を使ったり、バリエーションも増えてきました。
スペースセービングチャートは、光学系が内臓されているので、検査の外部環境に左右されにくいのが利点ですが、覗き込みタイプの器械は、指標の輝度が低くてコントラストが弱いので、見ずらいといわれています。
眼科では視能訓練士という視覚検査の専門家が検査をしているのですから、きっと正確と思っています。
一方視力が数字であらわされるほどには、簡単に割り切れるものではないとも思います。
Cの形の切れ目が目を細めず大体見えればいいのですが、目を細めれば、1~2段階は簡単に変わりますし、大体でいいですよを優しく連発していると、何回もチャレンジしている間に、何となく視力がでてしまっているという事もあります。
また視力が下がったと深刻に訴える患者さんに感情移入しすぎて、実力以下に測ってしまうこともあります。
ですから、患者さんには、眼科では避けて通れない視力検査ですが、その数字にあまり一喜一憂せず、おおらかな気持ちで受けて頂ければと思います。
検査する側としては、患者さんのその日の体調や様子をよく観察して、辛そうなときは、あまり粘りすぎずほどほどで切り上げるときもあるでしょうし、子供たちには優しくでもきっぱりとした態度で、時間がかかっても粘らねばならない時もあると思います。
患者さんと検者との貴重なコラボの結果がカルテに載っているのですから、そのデータを大切に見つつその数字を鵜呑みにはできないと、私は思っています。