昨今何とかフレイル という言葉を聞くことが多いです。
もともとは、日本老年医学会が2014年に提唱したのが始まりで、frality(虚弱)の日本語訳です。
単にフレイルといえば、下肢の筋力低下によって歩行速度が低下 それに伴って活動能力や移動能力が低下すること を指すようですが、何にでもフレイルをつければ、病気というより年齢に伴う老化現象によって、生活の不自由さが増すことを一言で表せる、便利な表現といえると思います。
眼科においてもアイフレイル と表現して盛んにテレビでも放送しています。
患者さんもよく話題にされますが、あの放送を見ると気持ちが沈む とか 怖い という方が少なくありません。
その気持ちは、白内障との付き合い方とも同じといってよいと思います。
確かに少しかすむけど、視力検査をするとちゃんと見える。
少しまぶしいけれど、サングラスをかけたら大丈夫。
年齢が若い間は、まだぴんと来ないでしょうが、高齢になるにつれ、色々な部位が痛くなったり、不調になったりすることが増え、目もアイフレイルと視力低下や視野の欠損を指摘されると、ますます気分は落ちていくかもしれません。
人には色々な性格がありますし、その時のコンディションでフレイルに対しての捉え方は変わると思います。
白内障については、急に進行することは珍しいことですが、のんびりしていてはいけない病態もありますから、一度は診察を受けておくことはお勧めします。
そして気持ちが前向きになった時には、思い切って手術の準備を進める けど不安が強ければ、次の機会を待つ。
怖くて診察を受けずに放置しておくのも、不安感が増加しますからちゃんと診断を受けていれば、自分の気持ちが熟成するのを待っているだけですから、放置ではありません。
そうやって自分との対話で進めていくのが、本来の白内障との付き合い方ではないかと思います。
手術を済ませてしまえば、もう白内障とは付き合わなくてもいいのですから、私達眼科医は、不便を感じるなら早く手術を済ませればと思ってしまいますが、高齢になるということはそんな単純な思考回路ではない ということは私達も知っておく必要がありそうです。