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先天性鼻涙管閉塞の治療アップデート | 伊丹市の眼科|宮の前眼科|白内障手術・硝子体手術・斜視手術

先天性鼻涙管閉塞の治療アップデート

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2023/10/15担当:山本 洋子
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昨日は先天性鼻涙管閉塞の治療のガイドライン作成者のお一人である先生が、講演された勉強会に、参加しました。

今日はそのことを書いてみたいと思います。

 

先天性鼻涙管閉塞というのは、新生児の10%位には存在する比較的多い疾患です。

 

涙は吸い込み口である涙点から、鼻腔に通じる鼻涙管に至る涙道を通って流れていきますが、そのどこかで詰まりが生じると、涙目や目やにといった症状が出てきます。

 

先天性鼻涙管閉塞の場合は、Hasner弁という鼻涙管の最下端の部に原因があることが殆どで、生後その部が開かない場合、発症します。

 

先天性鼻涙管閉塞の治療については、眼科医歴が長い医師は今まで治療については、結構ダイナミックな変遷があったことは知っていると思います。

 

私が研修医時代に習ったのは、大きくなってからのブジーは抑えるのが大変だから、生後2か月位におこなうのがよい ということでした。

 

盲目的ではありますが、比較的簡便な方法で、本来だと生後には開くはずのHasnaer弁のあるあたりをブジーで穿破したら、治るというわけです。

 

勤務医時代はもちろん、開業当初は外来でしていました。

 

その後涙道の権威の宮崎先生が伊丹近くの尼崎医療センターにおられ、地域の小さな勉強会などでも、涙道についてはよく講演をされていましたので、最新の治療についてはよく知っているつもりでした。

 

どうやら盲目的なブジーは望ましくない事 生後1年以内に96%の赤ちゃんが自然治癒すること 以前は推奨されていた涙嚢マッサージはしない方がよいこと 抗生剤点眼は根本治療とならないので極力処方を控えること 1歳を超えて症状が続く場合は全身麻酔下でスコープを使っての治療が最善の治療法であること 等を知り私もそれを取り入れました。

 

押さえつけてブジーを受ける赤ちゃんはいなくなり、数か月ごとに見ていた赤ちゃんで病院に依頼しなければならなかった赤ちゃんは2名程度でした。

 

ところがさらに時代は変わり、昨年2022年11月に新たに先天性鼻涙管閉塞治療のガイドライン というのが発表されました。

 

それによりますと、生後1年まで様子見をした場合、全身麻酔下でのスコープを使った治療となり、住んでいる地域によっては、その治療が不可能であること。(スコープの有無 涙道専門医の有無)

 

片眼の場合は、様子を見るよりブジー(プロービング)を早めにした方が有益な場合があるが、年齢や赤ちゃんの状態によって異なること。

 

抗菌点眼は必要時のみ短期間使用すること。(これは以前と同じ)

 

涙嚢マッサージは有効である可能性があること。

 

等が述べられています。

 

昨日はスコープでの治療映像を見せて頂きました。

 

Hasner弁の観察とそこの解放後の状態 ブジーでの穿破の状態を比較すると、やはり断然スコープでの方がきれいに大きく広がっています。

 

伊丹は涙道専門医のおられる尼崎医療センターにも近く地理的に恵まれているので、全身麻酔下での治療はかわいそうかもしれませんが、短期間ですし、ブジーも恐怖の体験という意味では、かわいそうである点は同じ気がします。

 

ですからより確実なスコープ治療が希望であれば、それも一法かと思いました。

 

1歳までの自然治癒率が96%ということでもありますし、ほとんどの場合治るということを思うと、親心としてはもう少し様子を見たいという気持ちになりそうです。

 

現在全国の涙道専門病院が、生後6か月から13か月(?)の赤ちゃんで早期のプロービング(ブジー)が有用かどうかを検証するため、精力的に患者さんを診ておられます。

 

もし該当していて紹介を希望される赤ちゃんがおられましたら、ご来院ください。