台風も過ぎ、過ごしやすい季節になってきました。
今日は網膜静脈閉塞症という病気の説明をさせていただきます。
➀ 網膜静脈閉塞症とは?
目には、カメラのフィルムにあたる部分が目の底(眼底)にあります。それを網膜と呼びます。網膜は目の底の内側に張り付いた神経でできた膜で、ここで光を感じ取ります。網膜静脈閉塞症とは網膜の心臓に戻る 血管(静脈)がせき止められて網膜に出血(眼底出血)する病気です。
② 網膜静脈閉塞症の種類は?
・網膜中心静脈閉塞症(CRVO)
網膜中心静脈がつまる、つまり下流の大元がつまってしまいます。網膜全域の血流が悪くなり、 網膜のむくみ (浮腫)がきつくなるために高度の視力低下を起こすこともしばしばです。(年長者では特に) また、緑内障を発症することもあり注意が必要です
・網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)
網膜上の静脈の枝葉(分枝)がつまってしまいます。つまった領域の網膜の血流が悪くなり、つまった場所にやそれが原因による網膜のむくみ(浮腫)の程度によって視力低下は様々ですが、網膜中心静脈閉塞症よりは軽症のことが多いです。
③ 網膜静脈閉塞症を起こしやすい人は?
・緑内障(眼圧の高い方) ・糖尿病 ・高血圧 ・血液疾患(白血病など)
➃ 網膜静脈閉塞症の症状は?
霧がかって見える(霧視)や視力低下が主な症状です。その他、蚊が飛んだように見える(蚊飛症)、時に 目が痛くなるときもあります。
⑤ 網膜静脈閉塞症の検査は? 視力検査、眼底検査で眼底出血を確認し、腕から点滴して眼底の造影検査を行います。網膜のむくみ(浮腫) を調べるために網膜の断層写真もとります。時に血液検査、内科受診をしていただき全身状態のチェックも 行います。
⑥ 網膜静脈閉塞症の治療は? 自然に出血が吸収されるのをしばらく待ちます。出血のタイプによっては、ステロイドなど飲み薬を服用していただく場合があります。網膜のむくみ(浮腫)がひどく視力が下がっている場合にはむくみをとるために、硝子体注射や網膜に光凝固を行います。むくみが続く場合は手術を行うこと があります。これはむくみが続くと視力が下がったままになるからです。出血の範囲やむくみの程度 は患者様によってことなります。病状によって相談しながら治療をすすめていきますのご安心ください。