今回のお話は、専門家の医師が専門外の医師に対して知識のアップデートのために書いておられるコラムからの抜粋です。
眼科医の私には、専門外の話は新鮮でとても役に立ちます。
想定された状況は、熱中症が疑われる人が目の前にいて、救急施設に搬送される前にできる限りのベストを尽くそう という時にどうするか ということです。
クーリングは一般的な対処法ですが、その際にどのように冷やすのがよいか。
院外であれば、涼しい場所に移し、衣類を脱がせる。
常温(25℃~30℃)の水を皮膚に吹きつける。さらに扇いで風を当て続けることが推薦されています。
室内であれば、40℃程度のぬるま湯を噴霧し、扇風機などで扇ぐ。
氷嚢 保冷剤や砕いた氷などで頚部 腋窩 鼠径部など体の一部を冷やすのもよい。
クーリングは氷水でなくて良いというのは、緊急時には助かりますが、その理由は、冷水を全身にかけてしまうと、末梢血管が収縮してしまい、深部体温の皮膚からの放熱を妨げる。
また冷水をかけることにより、筋肉がシバリングを起こし、筋肉が熱産生してしまうから と説明されています。
ただ室外の高温での労働中の熱中症の場合、冷水に浸す方法もあり、全身を常に冷やし続けられる環境であれば、効果があるかもしれない と書かれていました。
以上のコラムを執筆されたのは、福島県立医大会津医療センター 内科助手 鵜山保典先生でした。
いちばん良いのは、そういう状況に至る前に、ご自分で、あるいは周囲の人が気付けて、大事に至らないことですが高齢の一人暮らしでは、むつかしい時もあるかもしれませんね。