ムコスタ点眼薬は、ドライアイ治療薬の2本柱の一つとして、眼科の外来ではとても有用な薬です。
2012年の1月に発売されて以来、かなり癖のある薬ではありますが、ムチンの産生を促すことで、涙の量が安定するため、症状の強い患者さんには、効果が感じられる薬です。
そもそもムコスタという薬は、胃潰瘍の薬としてかなり昔から有名で、主成分のレバミピドは胃粘膜では、ムチンの増加作用と粘膜修復作用によって胃潰瘍を改善する という組み立てですが、胃潰瘍の治療薬としては、一昔前のお薬という理解でした。
そのレバミピドの作用を点眼剤にすることで、角膜 結膜のムチンを増加することで傷を修復する。
発売当初は、本当に効果があるのかどうか、半信半疑でした。
胃粘膜と違い、角膜表面の様子は患者さんに苦痛を与えることなく、フルオレスティンという染色薬で染めることにより、簡単に観察することができます。
回復力は、万能とはいえませんが、かなり改善することは実感できます。
ただ癖が強いと先程書きましたが、1日4回点眼はいいとして、防腐剤なしの使い切りタイプのため、刺激は少なくてよいのですが、実際に両眼に1滴ずつ点眼した場合、1本に入っている薬の大半を廃棄することになり、とてももったいない。
さらに4回分が1枚のシート状になっているため、使用ごとに1本ずつ切り離し、さらに点眼前によく振ってから、ひねって口を開け、先が目に当たらないように、慎重に点眼する という手間がありました。
若い人たちには、簡単なことですが、高齢者には難しかったり、リューマチ等の病気があって細かな作業が難しい患者さんにとっては、ストレスだと思います。
そうすると4回点眼が守りにくくなり、効果も落ちます。
今回のニューバージョンは、普通の5mlの点眼瓶に濃度も、組成も全く同じ薬が入っています。
廃棄薬が減り、有効に薬がつかえること よく振る必要はありますが、点眼瓶自体は普通の点眼瓶ですからさしやすい。
4回点眼も苦にならず、症状の改善率もよくなるのではないかと思います。
かなり白濁した薬であることは、主成分が同じなので変わりませんが、コンタクトレンズの上からでも点眼できるとという点は、同じです。
また副作用としての、のどに感じる苦み 涙嚢炎や涙道閉塞への注意というのも同様です。
保存方法も室温保存(1℃~30℃)となっており、冷蔵庫での保存が本来望ましいということになります。
今までのムコスタ点眼薬と新しいレバミピド点眼薬の効果がどう違うのか、結果がわかるのが楽しみです。
発売日は2023年9月1日 の予定です。