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アトピー性皮膚炎と白内障 | 伊丹市の眼科|宮の前眼科|白内障手術・硝子体手術・斜視手術

アトピー性皮膚炎と白内障

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2023/08/24担当:山本 洋子
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アトピー性皮膚炎の患者さんの白内障発症率が高いことは、有名です。

 

以前は糖尿病性白内障 ステロイド性白内障 外傷性白内障 というように、原因ごとに水晶体のどの部位に好発するか とか視力低下を自覚するまでの期間 などを論じたり教科書に書かれたりしていましたが、最近そのような話題はあまり聞くことは無くなってきたように思います。

 

多分何が原因の白内障であれ、手術自体の安全性が担保されているため、論じることの意味が薄くなってきたのかもしれません。

 

ただ懐かしい2004年の論文を発見し、たまたまアトピー性白内障について詳しく書かれていたので、かいつまんでご紹介します。

 

アトピー性白内障の起きやすい部位は、水晶体の一番前の薄皮(前嚢)或いは一番後ろの後嚢。

 

後嚢が濁る白内障としてステロイド性白内障があり、アトピー性疾患にはステロイドを使うことがままあるので、どちらの原因が確率的に高いかを論じていましたが、ステロイド白内障の発症率は、圧倒的にアトピー性白内障より低いため、原因疾患としてはアトピーを考えるべきと書かれていました。

 

ステロイド点眼が初めて臨床応用されたのは、1950年。日本で初めてステロイドの使用が認可されたのは1953年のことだそうです。

 

1940年から1953年までメイヨークリニックで2784例のアトピー患者さんを対象に、白内障との因果関係を調査したところ、白内障の発症は、思春期から成人初期に集中しており、全症例で皮疹が数年先行していた。

 

思春期以降に皮疹が重症化し、治療に抵抗するとともに白内障が出現し始め、しかもその進行は急速。

 

ただ時に、進行がゆっくりのタイプもあり、進行しない場合もある。

 

ステロイド治療薬が出現する以前のデータもあるため、ステロイド外用剤との因果関係も調査されているが、ステロイド薬を使用する以前にもアトピー性皮膚疾患がある場合、白内障は洋の東西を問わず、10%程度の合併が認められる と結論付けられています。

 

目の周囲に、ステロイド外用剤を塗布した症例と、していない症例で後嚢下白内障を比較した場合、白内障の発症率には有意差が無かったとなっています。

 

白内障手術で人工水晶体が使用できるようになる前には、若い人が手術を受けるデメリットとして、かなり分厚い遠視矯正のための眼鏡が必要となり、若年者は躊躇することになりますが、今では人工水晶体は当然ですし、場合によっては多焦点レンズを挿入した場合、手術を受けていない同年代の人と比べても、それほど遜色のない日常生活を送れることは、嬉しい進歩といえると思います。