3大生活習慣病の糖尿病については、よくご存知だと思いますが、これは2型糖尿病に分類されます。
今日話題とする1型糖尿病は、2型とは全く成り立ちが違います。
1型糖尿病について、日本内分泌学会の2022年5月の記載から抜粋します。
本来免疫機構は、外敵から身を守るために大切な働きをしてくれるのですが、何かの拍子に間違って自分の膵臓内にあるβ細胞を標的にしてしまい、破壊します。
そのためインシュリンが出なくなり、慢性高血糖状態となり、糖尿病を発症します。
急速にβ細胞が破壊されるため、様々な自己抗体が陽性となります。
原因の90%は、上に述べた自己抗体型で、残る10%については、原因不明です。
若年者(小児)に多い病気ですが、最近は小児1型糖尿病の発症率の増加と発症の若年化が指摘されています。
発症のピークは思春期にあり、それ以降は男女とも低下します。時に成人に発症することがあり、小児だけの病気ではありません。
国内における発症率は、10万人に対し1.4人~2.2人で少ない傾向です。
また発症とウイルス感染との関連が示唆されています。
通常遺伝性はありませんが、時に家族内発症が見られます。
典型的な症状は、のどが渇く 頻尿 倦怠感 体重減少 等いわゆる糖尿病の症状ですが、インシュリンが全くなくなった状態では、ケトン体が産出されるため、治療を早急に開始しないと大変危険な状態になります。
血糖コントロールのため、インシュリン投与は不可欠ですが、逆にインシュリン投与でコントロールがつけば、糖尿病のない人と同じ生活ができます。
以降はJAMA Ophthalmology に投稿された論文からの抜粋ですが、22歳未満で糖尿病と診断された米国ミネソタ州における1362人の住民の解析結果で、2型糖尿病児が糖尿病と診断されて15年以内に非増殖性網膜症を発症するリスクは、1型糖尿病児の2倍近く高い。
その理由は、1型なら発症後すぐに症状が出るが、2型は発症の時期が明確でなく、治療開始が遅れやすいためと述べられています。
1型であれば発症3~5年後から年1回、2型であれば発症直後から毎年検査をする必要がある となっています。
基本的には、糖尿病の病名がつけば、1年に1回の眼底検査は必ず受けてもらいたいと思いますが、血糖コントロールが不良の間は、特に要注意と考えます。