結膜というのは、白目のところとよく患者さんは言われますが、正確には白目(強膜)の上に乗っかっている透明な薄膜を指します。
ですから皮膚同様、外界からの異物侵入の際には、第一番に戦ってくれる大切な働きをしています。
ただ加齢とともに皮膚がたむるように、結膜も段々緩んできて、下まぶたの形に沿って緩んだ結膜が乗っかっているのを見かける人は、珍しくありません。
その程度が強いと、黒目(角膜)の上に乗っかってくるため、明るいところでは目に涙が溜まっているように見えたり、目やにと勘違いして強くこすって取ろうとして、却って炎症を起こしてしまったりすることがあります。
緩んだ結膜は、下側にドレープのようにひだ というか皺を作るため、そこに涙が溜まり、瞬きをすると涙がこぼれたりします。
またそもそも弛緩した結膜は涙の流れを邪魔するため、涙目になりやすくなります。
流涙というと、涙の通路の問題(鼻涙管狭窄症)のことが多いですが、結膜弛緩症のための流涙もあります。
眼球を動かすときには、ある程度結膜にゆとりがなければ動かすことができないので、強膜とぴったりくっついているわけではありませんが、子供の結膜を観察していると、透明で強膜との隙間も少なくとてもきれいな状態です。
結膜弛緩症の方が瞬きをしたり、目を動かしたりすると、弛緩した結膜が大きく動くため、ゴロゴロする、しょぼしょぼする 涙目になる といった症状が出てきやすくなります。
また結膜の中の細い血管が切れて起こる結膜下出血を繰り返す原因にもなり、鏡で観察しやすいため、何か悪い病気の前兆ではないかと心配して来院する方もおられます。
心配いらないことが殆どですが、あまりにしょっちゅう繰り返すと、気分的には嫌なものだと思います。
結膜弛緩症の原因は、加齢ははっきりしているとして、個人差については、例えばコンタクトレンズ歴 アレルギー性結膜炎があって目を良くこする習慣があった 等考えられていますが、若くても発症することも稀にあり、はっきりとはわかっていません。
点眼での治療は、症状緩和のために出すことはありますが、根本治療としては外科的な治療以外は功を奏しないようです。
ただ白内障手術のように、ほとんどの患者さんが改善するというよりは、結膜弛緩症術後の改善については、客観的に良くなっているにもかかわらず、改善したと感じるかどうかは、かなり個人差があるように思います。
はっきりと割り切れる症状ではないからかもしれません。
因みに当院でもこの手術を実施しています。