初期というのがいつのことを指すのかは、なかなか難しいです。
なぜならそもそも白内障のほとんどが、加齢による老化現象ですから、皮膚にシミやしわができているのに気づいたとしても、それがいつ発生したかは、自分でもわからないのと同じことだからです。
視力検査をしてたとえ1.0や1.2が出たとしても、見え心地が悪ければーかすむ ダブる 逆光では途端に見えにくいが室内でのテレビなどはよく見えるーやはり白内障の症状と言わざるを得ません。
見え方に敏感な方は、それによって白内障手術を決断するでしょうし、たまの不快感程度ではさして気にならないという方は、そのままの生活を続けることになるでしょう。
これは良性の病気の場合は、その判断は患者さんに任されて良いと私は考えます。
ただ白内障があるだけと考え、多少の視力低下やゆがみは放置していたという方を診察すると、緑内障や網膜の病気の併発という例もあります。
白内障は治療を急がなくてもよくても、他の病気は治療する必要がある場合もあるので、全てが白内障の症状と思いこまず、たまに眼科受診をして確認することをお勧めします。
かつてはたとえ診断がついても、治療に結びつかない場合もありましたし、現在でもすべての病気が簡単に治るというわけではありませんが、治療方法も治療手段も進化してきています。
むしろ白内障だけで、他の複雑な病気がないことが分かったとしたら、それは僥倖だと考えて、無理のないスケジュールで手術を予定すればいいと思います。
限りある国家予算内での治療をすることが保険医としての務めでもありますから、国が滅びない限り現在の医療水準を維持できると信じています。