人口減少が続いている昨今の日本では、今や宝となった子供たちの成長を見守るために、市町村単位で子供たちの成長に応じ、各種の健診が行われています。
その中で眼科が携われるのは、3歳児健診です。
予め配られている簡易の視力表を用いて、家で視力が測れたか その結果や予め配られているアンケートを基に子供たちがやってくるのが、今までのパターンでした。
以前も書きましたが、それに加えて、フォトスクリーナーと呼ばれる暗室での目の写真を撮る器械を使うことにより、より一層弱視を発見する確率が上がってきていることは、眼科医としてとても嬉しいことです。
自治体によっては、予算がつかずまだ導入できていない所もあります。
器械だけではなく、検査ができる部屋や検査をしてくれる人員の手配などが、難しいところもあるようです。
伊丹市は、小児科医会のバックアップがあり、早期に導入できました。
屈折性弱視の頻度や、視力発達の感受性時期が9歳ぐらいまであることを考えて、小学校入学時期でも間に合うというのが、フォトスクリーナー出現までの考えでした。
斜視を伴わない、片眼の不同視弱視や両眼の屈折性弱視の場合は、外観からは分からず発見が遅れることになります。
3歳児の視力検査に対する正確性は、正直個人差がありますので、早期発見が治療に結びつきにくいという一面があったのですが、自覚検査ではなく他覚検査ができると、治療を始めるとても強力な動機付けになります。
以前は発見できていても、両親が治療のための眼鏡装用を嫌がることもあったのですが、最近はネット環境が整い若いご両親方は、すぐに検索して理解してくれます。
そういう意味では、医師にとっても患者さんにとっても良い環境になってきたと言えそうです。
共働きの家庭が増えているので、子供の健診がとても面倒ということは、自分の過去を振り返ってもわかりますが、何とか時間を捻出して参加してもらいたいなと思います。