久しぶりに来院された患者さんも、カルテは開業以来の全てが残っているので、過去のデータを参照することができます。
そして視力が下がってきたようだ と言って来院される方の視力のデータが以前と随分違っていることも、珍しくありません。
白内障が原因で視力が下がっているとは限りませんから、一通りの眼底検査などをしますが、やはり白内障だけということが分かった場合は、かえってホッとします。
確立された手術治療があるからです。
ただ視力が下がっているものの、以前より近視化しているために、老眼が良くなって近くが見やすくなって快適だという方も、時々います。
ややこしい話ですが、白内障と一言で言っても、水晶体のどの部分が濁るかによって、症状の出方も様々です。
先程の近視化する場合は、核白内障と言って、水晶体の中心部分が濁って玉ねぎの芯のように固く、そして茶色くなった凸レンズが水晶体の中にもう一つ収まっているといった状態になります。
どれ位の年数が経っているかによって、着色状態や、近視化の程度は違いますが、凸レンズの作用によって、ピントが網膜の手前で合うことになるので、年数が経つにつれ、近視の状態は進んでいきます。
検査をして、以前と全く違う度数を入れることによって、視力がである場合もあるので、びっくりする度数の眼鏡をメガネ屋さんで作ってもらって疲れるという訴えで来院する方もいます。
ただ近くは見えやすくなっているので、これは便利だと喜んでいる方もいるので、手術の必要を説明するのに困る場合があります。
核白内障は先程も書いたように、水晶体の中心部分が段々固くなる状態ですから、いつまでも放置していると、いつぞや那智黒のようになった白内障のブログを書いたことがありますが、茶色を通り越して、真っ黒になっていることもあります。
そして手術の難易度が上がります。
人工水晶体の狙い度数を決める時にも、今まで通り近くも遠くも見えたいとの願いを単焦点レンズで叶えることは無理なのですが、最近老眼鏡なしで見れていたとの希望を叶えると、遠くは近視の状態となるのですから、若い時は目が良かったという思い出を忘れてもらわなければいけないのですが、白内障手術を受けたら、元のいい目に戻るはずという期待はあるわけで、説明に根気を要します。
多焦点レンズを入れる希望があるわけではありませんので、どうしてこうなったのかの説明を続け、本当はどこが見えることがベストなのかを、話します。
それによって、今はともかく快適だからこのままでいい という結論になることもあり、それはそれで仕方がないとは思う反面、難手術になってよいことは何もないのですから、そして淡々と難手術も華麗にこなして下さる鄭先生のためにも、十分説明をしていこうと思います。