新型コロナワクチン接種は、高齢者から始まって、どんどん対象年齢が下がってきていることを、肌身に感じます。
来院される方の年齢が下がってきているからです。
接種開始当初は、ワクチンの接種が他国と比べ遅いと責められ、進んできたらワクチンに対しての危険論 陰謀論が渦巻き、責任ある政府の立場というのは、何かと気が休まらないことだろうと、平民である私は少し同情的です。
本当のところ、ワクチン接種が唯一の正しい行為なのかはわかりませんが、ゆっくり考察している暇のない非常事態の場合、考えうる限りの、最大公約数の利益を優先するのが、国家の方針なのだと思います。
私自身、毎年のインフルエンザワクチンは受けませんが、今回と、2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1)流行時にやはり医療従事者に配布された際の2回は、自分のためというより医師の務めとして、ワクチンを受けました。
2009年のワクチン接種の際は、まず医療従事者と救急隊員 2番目に妊娠している人及び基礎疾患を有する人 3番目が1歳から小学校低学年 4番目が1歳未満の小児の保護者 そして小学校高学年 中学生 高校生 65歳以上の高齢者
という順番でした。
ワクチン接種は常に高齢者を優先するのではなく、そのウイルスのターゲットになっている対象者を当然優先するのです。
医療者もワクチンが安全だから受けるのではなく、いざという時に役に立つ戦力として期待されているから、まず最初に受けることが許されているのです。
今回のように世界にあまねく広がってしまったウイルスに対決するには、多くの人がワクチン接種をすることにより、集団免疫を獲得するのが一番手っ取り早く安全だと、多くの識者が判断したからだと信じたいと思います。
ワクチン接種したにもかかわらず、さらに感染してしまうというのは残念ですが、またそれに対しても対策があるでしょう。
12年前と違い、ユーチューブやSNSなど、メディアの幅が広がり、多くの人が自由に発言を許されるようになると、単なる井戸端会議程度の意見も影響力が出てきてしまうことを懸念します。
そして今回、日本小児学会は6/16に、声明を発表しました。
それによりますと、子供を新型コロナウイルス感染から守るためには、周囲の成人(親 子供にかかわる業務従事者等)へのワクチン接種が重要。
重篤な基礎疾患のある子供へのワクチン接種は、新型コロナウイルス感染の重症化を防ぐことが期待される。
健康な子供へのワクチン接種は、メリット デメリットを本人と家族が十分理解し、接種前後のきめ細かな対応が必要。
ちょっと歯切れが悪いですが、詳しくはかかりつけの小児科の先生に相談するのがいいと思います。
おそらく副反応が高齢者に比べ、強く出ることがわかっているからでしょう。
例えば、37.5℃以上の発熱率は、20台で50% 50代で30% 70代で10%と示されています。
ですから集団接種ではなく、個別接種が望ましいと書かれています。
12歳以上のワクチン接種は意義があると結論されていますので、子供たちの接種は、是非小児科の先生に相談の上で受けることが、何よりかと思います。