緑内障は超慢性疾患のため、点眼薬治療はとても大きな役目を果たしています。
白内障や網膜疾患 特に網膜剥離や黄斑前膜 増殖性糖尿病性網膜症などの原因のはっきりした疾患に対しては、外科的治療が主たる選択であることとは、大きな違いがあります。
緑内障手術も、最近の進歩は目覚ましいものの、緑内障という病態は単純ではない為、現在でも眼圧を下げることが進行を遅らせる、ということしかわかっていません。
ですから最近の手術の進歩というのも、低侵襲で大切な眼球を極力傷めない手術法が特に進展してきていますが、それによって全く点眼薬が不要になるというわけではありません。
もちろん初期の軽度の緑内障の方に、いきなり手術を勧めることもありません。
現在のところ、点眼薬で眼圧コントロールができるなら、それに越したことはないからです。
一方白内障の方に点眼薬を出すことは、かなり減ってきていますが、緑内障の方にもそのような時代が来ることは、今のところ考えにくいのです。
なぜなら、緑内障の本態は解明されていないとはいえ、緑内障の進行による失明を極力避けるための研究 つまり点眼薬の研究が現在進行形で進んでいるからです。
できたら医療経済的にも患者さんの負担という点でも、点眼薬を長期に続けるより、1回の手術で治ってしまう方がいいのかもしれませんが、私が眼科医を続けている間には、そうなることはなさそうです。
そこで緑内障治療からドロップアウトしないために、なるべく患者さんの負担を減らすべく、それぞれ企業努力が続けられていますが、その中でも配合剤のことを述べてみたいと思います。
緑内障点眼薬の配合剤というのは、1本の点眼薬の中に、2種類の薬効の異なる点眼薬が合わさった状態になっているものです。
点眼回数も、1回ないし2回で済み、煩雑さを避けることができる。
点眼本数を減らすことで、防腐剤による副作用を避けることができる。
1本(剤)で効果が2本(剤)(正確にはちょっと違う場合もありますが)の効果がある。
2本に分けるより合剤1本の方がお薬代が安い。
複数の点眼薬だと、間隔をあけるための待ち時間が必要だけれど、その時間を減らせる。
困る点は、もしさし忘れた場合、2剤もろとも忘れたことになる。
薬成分のアレルギーがある場合、どちらのアレルギーかはっきりしない。
等ありますが、アレルギーが出やすい薬はある程度予想がつくことと、点眼忘れは数が増えるほど多くなるのは間違いないので、やはり合剤の方が良いことになります。
最近出た合剤1種を除いて、合剤には必ず配合されている薬が、喘息や徐脈のある方には出しにくという副作用があるので、出したくても出せない場合もあるのが、困った点ではあります。