COVID19にまつわるニュースで、感染者数や重症者数などが連日話題になっています。
PCR検査などと言う言葉ももはや知らない人はないほどになりましたし、当院にもPCR検査の宣伝パンフレットが郵送やFAXで届きます。
手軽! 簡単! 早い! 安い! との文言が躍っており、ちょっと医療機関にはなじまない。
もう皆さんご存知かもしれませんが、最新の厚労省の決定もふまえて、振り返ってみたいと思います。
ウイルスの検査には、PCR検査 抗原検査(定性と定量の2種類あり) 抗体検査とおおざっぱに分けて3種類あります。
その中で抗体検査は、現在の感染というより、過去に罹患したことがあるかを調べる検査で、現在のところ、広範囲の地域の抗体保有状況を調べる、いわゆる疫学調査に活用することが主体の目的になっています。
検査キットは各種あるものの、薬機法上の承認を得た抗体検査はないとのことです。
PCR検査は、抗原検査に比べ、ウイルスを特徴づける遺伝配列を調べること そしてDNAポリメラーゼを用いることによって抗原定性検査より、少ないウイルス量でも検出することができるため、精度が高い反面、検体を特別な検査機関に搬送する必要があるため、数時間+搬送時間がかかります。
抗原検査は、昨年4月に富士レビオ社が抗原検査キットを薬事申請し、5月に厚労省に新型コロナウイルス抗原検査キットとして承認されました。
当初抗原検査には、一定以上のウイルス量が必要なため、陽性であれば確定診断となる一方,陰性の場合は、確定診断のために結局PCR検査が必要でした。
その後の調査結果、発症2日目から9日目までの鼻咽頭ぬぐい液による検査では、PCR検査との一致率が高いため、陰性でもそのまま確定診断としてよいというガイドラインの見直しが6月に行われました。
また同月抗原定量検査についても、先ほどの富士レビオ社が、さらに新たな抗原検出キットが承認を受け、定性検査より少ない量でも感度を高く改良し、定量的測定も行うことができるようになりました。
抗原検査の良い点は、検体を採ったその場で30分ほどですぐ結果がわかることですが、定量のためには、検査機関への搬送が必要になります。
この抗原定量検査により、PCR検査同様、鼻咽頭ぬぐい液による検査は、症状の有無にかかわらず、確定診断に用いることができるようになりました。
唾液による検査は、当初症状発症から9日以内のものについては可能となっていましたが、7月よりPCR検査同様、無症状の方に対しても、唾液による検査を行うことができるようになりました。
さらに、今年1/15より、抗原定性検査を無症状者に対する行政検査としての運用を認めました。
ウイルスの排出ピークが発症直前と初日との科学的根拠が積みあがってきたことによるのですが、主に医療機関と高齢者施設において、一斉・定期検査としての活用により、感染者を早期に発見し、集団感染を防ぐ目的です。
重症者数や死亡者数、感染者数が増えたことばかりを報道するのではなく、こういう地道な国の方針も報道して安心材料を知らせてほしいと思います。